不倫慰謝料

芸能人の不倫がニュースを騒がせたりしていますが、配偶者の不倫が発覚すると、被害者は大きな精神的痛手を負います。どのように対応するかは夫婦関係や被害者の価値観にもよりますが、浮気をした配偶者や不倫相手から、精神的損害を填補する不倫慰謝料をもらいたいと考える方も多くいらっしゃると思います。
この記事では、不倫慰謝料の概要、相場、請求方法などをご説明します。

ダブル不倫」の慰謝料とリスク 複雑になるお金の流れで、修復も困難に ...

1. 不倫慰謝料とは
結婚している男女は互いに貞操義務を負うため、他の異性と肉体関係を持つことが禁じられます。不倫はこの貞操義務に反するものですので、浮気をした配偶者は、被害者である配偶者に対し、民法上の不法行為をしたことになり、損害賠償義務を負うこととなります。
不倫相手は、もし既婚者であることを知りながら、または当然気がつくべき状況下で不倫関係にあえて陥った場合は、故意過失により不倫相手の配偶者の法律上の利益を害したことになるので、やはり損害賠償責任を負います。
不倫をしたカップルは、被害者への損害賠償債務について連帯責任を負います。
つまり、被害者としては、不倫をした自分の配偶者に対しても、不倫相手に対しても、どちらか一方に満額請求することもができ、不倫をしたカップルはそれぞれ半分ずつ請求してくれというような主張はできません。

2. 不倫慰謝料の相場
不倫慰謝料の金額は、法律上で定められたものではないので、当事者間で合意すればどのような金額でも構いません。ハリウッドスターなどで数億円単位の慰謝料の支払いなども聞いたことがありますよね。しかし、通常は支払う側はなるべく安く、もらう側はなるべく多くもらいたいものですので、相場を意識した示談交渉がなされます。
不倫慰謝料の相場、裁判で争われ決着がついた金額を元にしており、およそ50万円~300万円程度となります。
相場は、夫婦や不倫の状況により異なり、不倫により被害者に与えられたダメージが大きいほど高くなります。具体的には、不倫後夫婦関係を修復する場合であれば50万円~100万円,不倫を原因として夫婦が別居した場合は100万円~200万円,不倫により夫婦が離婚に至った場合は200万円~300万円が目安です。

3. 慰謝料の金額に影響する要素
裁判になった場合に実際に決まる慰謝料の金額を左右する要素としては、夫婦の属性や年齢差、婚姻期間、不倫前の家庭の円満度、子供の有無などの夫婦の状況があります。また、不倫関係の長さ、頻度、どちらにイニシアチブがあったのかなど、不倫をした当事者の要素も考慮されます。不倫を否認したり、一度もうしないと誓ったのにもか変わらず再発したりした場合は、加害者の責任が重く認められがちです。
4. 不倫慰謝料の請求方法
不倫相手に慰謝料請求をする場合は、まずは内容証明郵便などを送り、それから示談交渉にはいることが一般的です。加害者が素直に示談交渉に応じる場合は、公正証書などで示談書をつくり、合意した金額を支払ってもらいます。
加害者が任意に示談に応じない場合は調停や訴訟で決着をつけることになります。
いずれにしても、早い段階から、離婚問題に詳しい弁護士に間に入ってもらったほうが被害者の精神的負担も軽く、示談交渉や訴訟もスムーズに進みやすいと考えられます。

5. 注意しておきたいこと
不倫慰謝料を請求するとき、もう離婚の決意を固めている場合は、上述のように自分の配偶者にも不倫相手にも心置きなく請求をしても問題ないでしょう。一方、不倫相手からは慰謝料は貰いたいけれど、離婚する気はない場合は注意が必要です。この場合は、自分の配偶者からは慰謝料をもらう気はないことが一般的ですので、不倫相手に満額請求することになります。ところが、満額支払わされた不倫相手は、共同不法行為者である不倫相手に負担を求める求償請求が可能です。こうなると、せっかく慰謝料をもらっても家計からお金が逆戻りしてしまいますので、例えば慰謝料を減額する代わりに不倫相手に求償権を放棄してもらうなどの工夫が必要です。

6. 最後に
いかがでしたでしょうか。不倫慰謝料についてご参考になれば幸いです。

離婚と弁護士費用

離婚をする際に、全ての夫婦が当事者だけの円満な話し合いにより離婚できるわけではありません。離婚は男女間の複雑な感情に法律や財産の問題が絡むため、当事者間の話し合いが感情的になりがちなテーマであるともいえます。当事者同士の話し合いにより状況が悪化してしまいそうな場合は、第三者であり法律の専門家である弁護士に間にはいってもらって離婚協議を進めるのがスムーズな解決策です。ところで、離婚問題を弁護士に頼もうかと検討する場合に気になることが、弁護士費用ではないでしょうか。

離婚前後には引っ越し等の生活の変化などお金を使う場面が増えるので、弁護士費用がどの程度かかるのかが心配になる方もおられると思います。

弁護士監修】離婚の弁護士費用の相場|着手金や報酬金、法テラスの費用 ...

 

 

1.弁護士費用は事務所によって異なる

 弁護士に支払う金額は、弁護士事務所により異なります。従前は、日本弁護士連合会が一律の弁護士報酬の基準を定めていたのでどこの事務所に頼んでも同じ費用でしたが、弁護士費用の自由化によりこの統一基準はなくなりました。そのため、事務所ごとの方針により、パートナーといわれるシニア弁護士やアソシエイトといわれるジュニア弁護士の時間給は異なります。そのため、依頼を検討している事務所から見積もりをとり、比較検討しててみることをおすすめします。もっとも、旧日弁連の基準にしたがって報酬を設定している事務所が多いので、事務所による金額の差異はそれほど大きくないと思われます。

 

2、離婚案件でかかる弁護士費用とは?

2.1 相談料

離婚問題を相談するにあたり、まずはご自身の状況や今後希望する方向性を弁護士に相談する必要があります。この際のコンサルティング費用は、相談にかかる時間に応じて計算されることが多く、例えば1時間1万円というように設定されます。相談の結果、例えば離婚調停や裁判を委任する場合、初回相談料は無償としてくれる弁護士事務所もあります。

2.2着手金

離婚問題の解決を正式に委任すると、弁護士が事件に着手するにあたっての着手金を払う必要があります。

 2.3 成功報酬

離婚問題が無事解決した時点で弁護士に支払う報酬です。成功報酬は依頼者が弁護士への依頼により得られた経済的利益の数パーセントとなります。例えば、不倫による離婚の場合は、得られた慰謝料や財産分与の額の数パーセントを弁護士に支払う必要があります。依頼者としては、成功報酬は実際にもらえる金額の一部を弁護士に支払えばよいので、資金繰りに不安がある場合は、着手金の割合を減らして成功報酬の割合を増やすことができないか弁護士に相談してみることがおすすめです。

2.4 日当・実費

弁護士に出張などをお願いする場合別途日当が発生したり、依頼内容によっては費用実費が別途必要になることもあります。

 

3.離婚の弁護士費用の相場

離婚は調停前置主義といって、裁判の前にまず調停をおこす必要があります。調停の代理人を弁護士に依頼した場合の相場は30万円から70万円程度、調停が成立せずそのまま訴訟に進んだ場合は合計で70万円から110万円程度が相場となります。なお、離婚の是非のみならず、養育費や財産分与が争点となっている場合は、より弁護士費用が上がる可能性はあります。

 

4.弁護士費用の支払いが難しい場合

弁護士事務所の無料法律相談や法テラスなどで法律相談を受けることができます。また、弁護士事務所によっては弁護士費用の分割払いに応じてくれるところもあります。

離婚慰謝料や財産分与をある程度受け取れる見込みがあるときは、なるべく着手金ではなく成功報酬の割合をあげてもらうという方法もあります。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか。離婚問題を弁護士に委任する場合の費用の目安についてご参考になれば幸いです。

離婚と子供の相続

日本では夫婦が離婚すると、どちらか片方の親が親権者となり子供と一緒に暮らし、親権者とならなかったほうの親は子供とは離れて暮らすことになります。非監護親が子供とどの程度面会交流の機会をもつかはそれぞれの家庭によって異なり、親子の親密度愛もそれによって異なるでしょう。悲しいことですが、離婚によって非監護親が子供と疎遠となってしまうケースも少なくありません。こうした場合、非監護親が亡くなった場合の子供の相続権はどうなるのでしょうか?

 

離婚した後の配偶者・子供の相続権 | 相続弁護士相談Cafe

 

1.離婚によっても子供の相続権は消滅しない

民法によって、配偶者と子供は、被相続人の第一義的な相続人として定められており、それぞれ1/2ずつの相続権を有しています。夫婦が離婚すると配偶者は被相続人と法律上赤の他人になりますので、相続権はなくなります。しかしながら、夫婦が離婚しても、夫婦の間に生まれた子供と両親との間の親子の関係は変化しません。したがって、子供は離婚後も両親に対して、1/2の相続権を有したままとなります。このことは、非監護親として別居して暮らしたとしても変わりません。そのため、離婚の有無にかかわらず、子供は親に対する民法上の相続権を有することになります。

 

2. 離婚した配偶者との子供に財産を渡したくない場合

上述のように、基本的には、子供は離婚した両親に対して、離婚していない場合と同様それぞれ法定相続権を持ちます。しかし、非監護親の立場からすると、いかに実の子とはいえ、離婚から年月がたち、ほぼ面会もせずに疎遠のまま子供が成長した場合、財産を相続させたくないという気持ちになることもあるでしょう。特に非監護親が再婚してより親密な関係の新しい配偶者や新しい配偶者との間の子供を持った場合に、そうした気持ちになってしまうこともあるでしょう。

こうした場合、非監護親がとりうる手段としては、遺書を遺しておき、相続財産をすべて再婚の配偶者やその間の子供に遺すという意思表示をすることができます。ただし、注意しておくべき事項として、民法上の相続権者は遺留分減殺請求権を有しています。遺留分減殺請求とは民法上定められた法定相続分を侵すような遺言がなされた場合であっても、法定相続分の一定割合まではその遺言を無効として自分に引き渡すように請求できる権利です。そのため、養育していない離婚した配偶者との間との子供に一切財産を渡さないということは、その子供から請求があれば不可能ということになります。遺留分減殺請求を主張できる期間は法律により定められていますので、相続を希望する子供側としては、非監護親が亡くなった後遅滞なく請求していくことが必要です。

 

3.監護親が再婚した場合

親権を持っている親が子供を連れて再婚した場合、子供の相続権はどうなるのでしょうか。再婚により子供が親の再婚相手と同居して、実の親子のように暮らしたとしても、それだけでは再婚相手と子供との間では相続権は発生しません。再婚相手と子供が養子縁組を行った場合に、2人の間に法律上の親子関係が発生するので、相続権が発生するのです。養子縁組には子供が幼い場合に、実の親との親子関係を消滅させたうえで、新たな養親との間の親子関係を成立させる特別養子縁組と、実の親との親子関係は存続させたうえで、養親との間の親子関係も成立させる一般養子縁組があります。特別養子縁組の場合は実の親との相続関係はなくなりますが、一般養子縁組の場合、子供は実の親からも相続でき、養親からも相続することができます。

 

4.最後に

いかがでしたでしょうか。離婚によっても、非監護親と子供との間の相続権は消滅しません。離婚後夫婦それぞれが再婚したり、新たに再婚相手との間に子供を授かったりした場合、相続関係は複雑になりがちです。離婚と子供の相続に迷いがある場合は、弁護士等の専門家に相談しましょう。

よくあるご相談 親権を獲得するために

離婚の際に大きな揉め事のなる事項のひとつに、お子様の親権の帰属があります。夫婦は離婚してしまえば他人ですが、血を分けた我が子となるとそう簡単には割り切れないことが多いでしょう。夫婦の合意でどちらが親権者になるかすんなり決まればよいのですが、父母ともに親権を主張して決着がつかないこともあります。そのような場合、ご自身が確実に親権を取得するためには、どのような対策をすればよいでしょうか。

 

親権について(主に乳幼児期の子ども) | 船橋周辺の夫婦間トラブル ...

 

1.親権とは?

親権とは、未成年の子供が自立する成人するまで、養育し教育を施すという親の権利義務をいいます。親権には、未成年の子に代わってその財産を管理する財産管理権と、寝食を共にして世話をする監護権の2つがあります。

2つの権利は、同じ親が合わせて持つこともでき、1つずつ切り離して持つこともできます。

婚姻中は父母が共同して親権を持ちますが、日本の民法では、離婚をすると共同親権は認められずどちらか一方が親権を持つことになります。離婚届けを提出する際にどちらか一方を親権者に定める必要があるので、離婚までにはどちらが親権を持つかを必ず決めておく必要があります。

 

2.親権が決まる基本的な考え方

両親が子供の親権について合意できない場合最終的には家庭裁判所での司法判断となります。裁判官は親権の帰属を決定する際、子供の福祉のために、父と母どちらが親権を持ったほうがよいのかを様々な要素を考慮して結論を出します。

そのため、親権を求めて訴える側としては、自分が親権を持ったほうが子供を幸せにできるということを、様々な角度からアピールし、認めてもらう必要があります。決め方

 

3.親権の決め方

第一義的には、夫婦が協議して決めることになります。協議でも決まらない場合は、夫婦関係調整調停を家庭裁判所に申し立て、調停員の仲介のもと、協議をすすめることになります。調停員のアドバイスには法的な拘束力はないので、調停でもまとまらない場合は訴訟により解決をはかることとなります。

 

4. 親権決定の際に判断される要素

調停での調停員、裁判での裁判官の親権についての判断は、様々な要素に基づいて行われます。まず、特に子供が幼い場合は、一般的には母親の方が父親よりも、優先されます。母のほうが日常生活において細やかに子供の面倒を見る傾向があり、幼児期において母親と子供の関係性はその子の発育に大きな影響を与えると考えられているためです。

また、離婚後にどちらの親のほうが子の養育に時間や手間を割ける環境にあるかということも大きな判断材料です。例えば仕事が繁忙でなかなか育児に時間がとれない親よりは、実家の援助などがあり時間に融通がきく親のほうが、子供の養育に適していると判断される可能性が高いです。離婚前に実際に育児にかかわっていた態度や時間なども、離婚後の子供の養育態度の参考として加味されます。

 

子供がどちらの親と住みたいかという意見も考慮されます。もっとも子供が未就学児であるなど幼い時期はまだ自分の意見を形成することは難しいのであくまで参考程度にとどめられます。一方、子供が小学校高学年、中学生などになっている場合は、ある程度自ら判断ができるので、子供の意見の考慮の比重も高くなっていきます。

 

一方、夫婦の離婚原因やどちらに非があったかということは、基本的には親権の判断にあたって考慮されません。例えば、不倫による離婚の場合、夫婦間では不法行為にあたるので法定離婚原因にあたり慰謝料請求原因になりますが、そのことと子供の福祉とは関係がないので、親権判断にあたっての考慮要素とはならないのです。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか。親権を決める際に、夫婦間で合意ができない場合は、調停や裁判の場で判断されることになります。親権決定は様々な要素を考慮されたうえでなされますが、基本的には母親が優先されることが多く、離婚後子供を養育できる環境や子供の意見アドを加味されて検討されます。

 

よくあるご相談 面会交流

1.面会交流権とは

離婚により夫婦は他人になりますが、それによりそれぞれの親と子どもとの間の親子関係が切れるわけではありません。離れて暮らす親は、子供に対する扶養義務を負い、また定期的に直接会ったり、手紙や電話等の手段でコミュニケーションをとったりする面間交流権を持ちます。

 

2.面会交流の決め方

面会交流を決める際には、頻度、場所、第三者がたちあうか、プレゼントや宿泊の有無などの条件を取り決めておく必要があります。この条件は、第一義的には子供の両親である父母が話し合って決めることになります。夫婦の話し合いがまとまらない場合、非監護親側が監護親の住所地の管轄の家庭裁判所に対して面会交流調停を申し立てます。調停は当事者同士の話し合いの延長ですので、調停員が面会交流条件を当事者に強制することができません。調停が不成立の場合は審判、裁判所での裁判というように進行していくことになります。

 

3. 調停の進行

面会交流を含め離婚関連の事件は、調停前置主義といって、いきなり訴訟を提起することはできず、まず調停での解決を図る必要があります。家庭内での事件ということもあり、まずは当事者の話し合いの延長である調停に委ねたほうが効率的という理由があります。

調停では、まず調停員を交えて当事者画面間交流の条件を話し合うことになりますが、まとまらない場合は、裁判官による審判に移行します。審判の結果に不服の場合は訴訟を申し立てることができますが、不服申し立てをしない場合、審判の結果が法的拘束力を持ちます。

裁判所は審判を出すにあたって、なるべく公平な結論を出すように、事前に家庭裁判所の調査官による調査を行うことがあります。具体的には、子供の保育園や学校の教職員に子供の生活状況について聞き取りを行ったり、両親からの意見聴取、子供自身の意見をヒアリングしたりします。調査官は児童心理などにも習熟しており、総合的な調査の結果、どうすることが子供の福祉にとって一番よいかを検討したうえで、裁判官の検討要素とするために報告を行います。

 

また、実際に面会交流を行った際に、非監護親と子供がどのように交流するかを見て判断するために試行的面会交流が行われることもあります。試行的面会交流の際には、家庭裁判所の玩具等がおいていある一室で、家庭裁判所の調査官が立ち会いのもと、面会が行われます。試行的面会交流の歳の非監護親と子供の反応をみて、家庭裁判所や監護親はその後の面会交流条件について検討することができます。

 

4.面会交流の条件について

面会交流の条件は家庭によって様々ですが、アンケートの結果最も多いのが、月1回、2~3時間程度のことが多いようです。子供の引き渡しは、非監護親と監護親の関係がそれほど悪くない場合には直接行われますが、第三者に委託して行われることもあります。

 

5.面会交流の決定時期

離婚時には必ずどちらが親権者になるかを指定している必要があります。ところが、面会交流条件については、離婚時に必ず定めておく必要はないため、離婚後に協議されることも多いようです。離婚後夫婦間のコミュニケーションがとりづらいことも多いですので、非監護親の立場としては、離婚前になるべく具体的な面会交流条件をとりきめときたいところです。

 

6.最後に

いかがでしたでしょうか。離婚後、子供と離れて暮らす非監護親には面会交流権があります。面会交流に際しては、日時、場所、頻度その他諸条件を決める必要があります。これらの条件はまずは夫婦の話し合いにより決められ、合意できない場合は、調停、審判、訴訟により決められることとなります。

 

協議離婚と公正証書

日本では、離婚の際に当事者同士の話し合いで解決をする協議離婚という方法を選択する方が多いです。裁判や調停に比べると、費用や期間もかからないことが多いですし、第三者にプライバシーを知られることをためらわれる方もいるからでしょう。

ところで、協議離婚をする際は、必ず離婚条件を公正証書としておくことをおすすめします。

 

養育費の支払いは公正証書に残すべき理由と書き方・作成の流れ|離婚 ...

 

1.公正証書ってなに?

公正証書とはいったいどういったものでしょうか?公正証書は、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。公証人は、元裁判官や検察官等の有識者が任命されることが多いです。公正証書は、文書を作りたいと希望する人が、全国各地にある公正役場に出向き公証人の面前で文書を作成することで作成されます。公証人により確かに本人の意思に基づいて適正に作成されたことが証明されるので、文書に公の書類としての証明力や強制執行力が生まれます。

 

離婚の際に取り交わす離婚協議書には、重要な財産や身分の変動等が記されますので、事後的にトラブルを生まないように、公式な書面である公正証書にしておくことが望ましいのです。

 

 2.離婚条件を公正証書にしておくことのメリット

養育費の支払いや財産分与を分割払いにするときなどは、長期間にわたっての金銭債務の支払いになります。こうした長期の債務は、公正証書で手当てをしておかないと、離婚後途中で支払いがとどこおってしまうリスクがあります。例えば、離婚した日本の母子家庭では、離婚時に約束した養育費の支払いを子供の成人まできちんと受け取れているケースは、全体の約2割ともいわれています。

あってはなならないことですが、長い時間の経過とともに、支払い義務者である片方の親の経済状況の変化や再婚して別に扶養する子供ができた等の理由があるのでしょう。

 

公正証書にしておくと、内容に強制執行力があるため、このように途中で債務が支払われなくなったときに、強制的に債権回収をはかることができます。

公正証書にした条件については、支払が滞り、督促してもなお支払いがない際に、相手の給与の一部や口座などを差し押さえて、強制的にお金を回収することができます。

ちなみに公正証書がない場合でも、裁判を起こすことによって債権回収ができる可能性はありますが、訴訟は手間やコストがかかることとを考えると、万一に備えて、離婚時にあらかじめ公正証書にしておきすぐに強制執行がかけられるようにしておくことが望ましいのです。

 

3.強制執行とは?

強制執行力とは、相手が任意で支払い等をしないときに、法が介入して直接支払いをさせる力になります。調停や裁判離婚では、離婚条件は法的文書である調停調書や判決文の中に記載され、離婚条件が守られない場合は強制執行をかけることができます。

しかし、協議離婚の場合で作成される離婚契約書は、公正証書でなければ単なる私文書となるので、これだけでは強制執行をかけることができません。

 

4.公正証書作成のデメリット、注意点

公正証書作成は不払いリスクを回避するために非常に効率的な手段ですが、デメリットがあるとすれば、公証役場に支払う手数料と公証役場に行く手間がかかることでしょう。また、公正証書は法的拘束力は強いので、条件を吟味せずに作成してしまうと後悔するということもありえます。そのため、作成にあたっては、事前に内容をじっくり検討し、必要に応じて弁護士などの法律の専門家のサポートを借りましょう。

 

5.公正証書に定めておく条件

取り決めた離婚条件は、漏れなく具体的に記載しましょう。記載すべき代表的な事項は、子供の親権者の指定、養育費の金額や支払い条件、面会交流条件、財産分与、離婚慰謝料などとなります。

 

6.最後に

いかがでしたでしょうか。よく吟味された離婚条件を公正証書にしておくことは、あなたやお子さんの将来を守ることにつながります。協議離婚をされる際にはぜひ公正証書を作成し、納得のいく離婚ができるようにしましょう。

 

養育費とその相場

 離婚にあたって大きな関心事になるのが、お子さんの問題です。日本の法律では共同親権が認められていないので、父母のどちらかが親権者(看護者)となり、親権者とならなかった側の当事者は相手方に養育費を支払うことになります。

 

養育費はお子さんが幸せに育つために重要なお金の問題であり、かつ原則的に毎月お子さんが成人するまで発生するものであるため、離婚にあたってもめ事となることも少なくありません。この記事では、養育費とその相場についてご説明します。

 

養育費を年収や子供の人数別に徹底紹介!例:年収400万だと養育費6万が ...

 

1. 養育費は法律上必ず支払う義務がある?

養育費は法律上必ず支払う義務がある費用です。民法上、親は子供に対して、衣食住等の生活費や傷病時の病院代、教育費用について、子供が経済的に自立するまで負担するべきことが定めらています。これを扶養義務といい、モラルとして親が子を養うべきというほかに、法律上の親子関係であれば義務として発生するものです。親子の扶養義務は、両親が離婚したとしても変わらずに存続します。

 

2.養育費の金額はどう決めるべき?

養育費は、法律で明確に定められた金額はなく、基本的には父母の話し合いで、わが子に必要と考える金額を合意して決めるものとなります。金額で決めてよいのです。しかし現実問題としては、支払う側ともらう側の利益は対立しがちです。そのため、なかなか当事者間で合意が整わない場合に養育費の金額を決定するための基準が、裁判所により示されています。養育費の話し合いがまとまらず裁判等になった場合は、この基準に従って定められます。

 

 3.養育費算定表の見方

上述の裁判所による基準は、東京家庭裁判所のウェブサイト等で公開されています。

参考URL:http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

この算定表は、養育費の支払い義務がある親と、養育費を受け取る権利がある親権者の年収や子供の人数や年齢に応じたマトリックス表となっています。なお、この基準は、2019年12月に実に16年ぶりに改定されました。物価の上昇等を考慮して、従来の養育費基準では、子供の養育のためには少なすぎる金額であると判断されたためです。

 

 

表をご参照いただくとわかりますが、支払義務者の年収が高く権利者の年収が低い場合は、養育費月額は高くなります。親の扶養義務レベルは、親自身の生活レベルや教育レベルで子供が成長できるレベルとされているためです。支払義務者の年収がそれほど高くなく、権利者の年収が高い場合は、養育費はもう少し低い金額となります。養育費は父母が双方負担すべきという考え方から、権利者に十分な収入がある場合は調整がなされるからです。

 

 4.公的扶助は考慮すべきか

母子家庭等年収が低い世帯は、生活保護手当や児童手当等、国や市町村から給付を受けることができることがあります。この公的扶助は、養育費算定表を見る際に、養育費を受け取る権利者の収入に合算してみる必要はありません。これらの公的扶助は、家庭間で分担される私的な養育費とは別に、国策として支払われ福祉制度の一貫であるからです。

 

5.養育費はいつまでもらえる?

養育費の支払い期間は、未成熟な子が社会的に自立するまで、とされています。社会的に自立する時期は、基本的には子供が成人になるときと考えられています。しかし、昨今では、社会人として経済的に自立するのは、4年制大学卒業時の22歳ということも多いでしょう。また、両親ともに高学歴の場合大学院卒業時に就職するという考え方もあるでしょうし、逆に子供の希望によって高校卒業後は就職するという考え方もあるでしょう。したがって、ベースは成人時としつつも、ケースバイケースで支払い期間が延長または短縮されるケースも多くあります。

 

6. 最後に

いかがでしたでしょうか。養育費の相場について御参考になれば幸いです。

 

よくあるご相談例 モラハラと離婚

モラハラとはモラルハラスメントという言葉の略で、ドメスティックバイオレンスの一つです。モラハラは心への暴力ですので、配偶者の継続するモラハラに心傷つき悩み、離婚のご相談に来る方も少なくありません。この記事では、モラハラと離婚についてご説明します。

 

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1.モラハラとは?

モラハラとは、倫理に反した嫌がらせという意味で、他人を傷つけたり侮辱したり精神的な虐待をすることを言います。何をもってモラハラというかは、被害者の感受性や受け取り方にもよりますが、例えば、以下のような行為が繰り返される場合で被害者が苦痛を受けているのであれば、モラハラであると考えてよいでしょう。

 

 ①暴言を吐く

理由なく相手の人格や性格を貶めるような発言をして、言葉により相手の心にダメージを与える行為です。配偶者本人に向けられることも、その家族や友人について心ない発言をするというパターンもあるようです。

暴言には全く具体的な根拠がないこともありますが、家庭内という密室で暴言を浴びつつけた被害者は、だんだん自身を喪失し、本当に自分に落ち度があると思い込んで、モラハラから抜け出せなくなることもあります。

 

②相手のミスを執拗に攻撃する

 夫婦は、家庭という共同企業を運営するパートナーですが、生活の中での相手のミスを、執拗で不必要に強いトーンで攻撃するようなパターンもあります。

 

③相手の行動を監視し制限する

配偶者の交友関係や社会活動を不当に制限したり、見張ったりするパターンもあるようです。メールやスケジュールをチェックし、自分がコントロールできない行動にでると激怒をしたりします。

 

2.モラハラはなぜ起きるのか

モラハラは、家庭内で弱者と強者の関係、支配される者と支配するもの関係ができてしまうことにより生まれます。モラハラをする人は、実は自分に自信がなく配偶者を支配することで自尊心を満たそうとしていたり、過去両親のモラハラを目撃して心の傷を負っていたりという問題を抱えていたりすることも少なくありません。

モラハラを指摘されて反省し、夫婦で話し合いをしたりカウンセリングにかかるなど、解決するケースももちろんあります。ただ、心に深い問題を抱えている加害者の場合、いくら指摘されてもモラハラを治すことができないこともあります。こうした場合は、被害者が不当に耐え続け、それを見た子供達がつらい思いをし続けるよりは、離婚をしたほうが幸せになれる可能性もあります。

モラハラをするご自身の配偶者が、反省や行動の改善をする見込みをするかどうか冷静に観察しながら、判断しましょう。

 

3.モラハラを理由とした離婚はできる?

モラハラをする配偶者が離婚に応じてくれない場合、強制的に裁判で離婚させてもらう方法はあるのでしょうか?結論からいうと、モラハラの程度や頻度によっては、可能な場合と不可能な場合があります。

日本の民法では、法定離婚原因という5つの原因に該当すれば、相手が同意していなくても離婚できます。

法定離婚原因には、不倫、悪意の遺棄(出て行ってしまって帰らないなど)、生死不明なの他、「その他婚姻を継続しがたい重大な理由」というキャッチオール規定があります。モラハラは、程度によってはこれに該当する可能性があるのです。

ただの夫婦喧嘩や一回限りの嫌がらせ等ではこれが認められる可能性は低いですが、第頻度や程度が重大なモラハラがあって、第三者である裁判所に証拠を示せれば、認めてもらえる可能性は十分にあります。

また、モラハラが認められれば、民法上の不法行為として、離婚慰謝料を請求できる可能性もあります。

 

4.モラハラで離婚するために重要なこと

モラハラは家庭内という密室で行われるので、証拠がなければ、裁判を起こしても配偶者といった言わないの水掛け論になってしまい離婚が認められない可能性が高いです。そのため、モラハラで離婚を考えている方は、意識してモラハラの証拠を集めるようにしましょう。

モラハラの具体的な内容、場所、日時、目撃者はいたのかなど、モラハラをされた直後にメモをとったり、加害者に気づかれないように録音録画などをしておくと効果的です。また、加害者の反対にあっているなど、離婚まで時間がかかりそうだけれど、自分やお子さんの精神に大きな負担がかかっている場合は、まず家を出て身の安全の確保をはかることも必要な場合があります。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか?モラハラは、暴言や相手の言動を不必要にコントロール刷るなどの精神的な暴力です。モラハラにあっていて離婚したい場合、民法上の法定離婚事由に該当する可能性がありますので、証拠を集めて早めに弁護士等の専門家に相談しましょう。