よくあるご相談例 養育費

離婚をする場合に、一番気がかりなことは子供のことというご相談者の方は多いです。

両親が離婚することによる子供の精神的な負担、離婚によって引っ越しをする場合の転校などの環境の変化に加えて、離婚後に子供を養っていくための養育費が十分にもらえるかということは気になりますよね。

 

この記事では、養育費について知っておきたい事項をまとめました。

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1.養育費の意味

養育費は、簡単にいうと、離婚後、子供と離れて暮らす親が支払う子供の生活費です。離婚をすると夫婦は他人に戻りますが、子供と親の関係は変わりません。

親は民法上子供を扶養する義務を負っているので、別居していても、基本的には自分と同じ生活水準で子供が暮らせるように扶助する義務があるのです。

養育費は子供が社会的に自立するまで(自立の定義は、18歳まで、20歳まで、大学卒業までと家庭によって取り決めはまちまちです)、別居親から子供を養育する側の親に毎月支払われることになります。

 

 

2.養育費の相場

養育費は、本来は両親が、自分たちの子供を育てていくのに必要なお金はどれくらいかということを話し合って決めるものです。

そのため、本来は家庭によってまちまちなものです。

例えば、両親ともに高学歴で高収入の場合は、子供についての養育費も自分たちと同じ生活レベル・教育レベルで育つことができるように一般的には高額になります。

しかしながら、養育費を支払う側はなるべく安く済ませたい、もらう側はなるべく多く受け取りたいと考え、利害が対立してしまうことも少なくありません。

 

こうした場合は、家庭裁判所が定めた「養育費算定表」をベースに、機械的に決定せざるを得なくなります。

算定表に基づく養育費はこれまで社会の物価等に見合っておらず低すぎるという批判がありました。

これを受けて、昨年(2019年)12月についに養育費算定表は改定されました。

養育費算定表は、支払う側と受け取る側の親の年収、子供の数や年齢でレンジが決定されるのですが、今回の改定で、だいたいどの世帯でも1万~2万円程度養育費の引き上げがなされたようです。

 

3.離婚後養育費が変更になる場合はある?

 

養育費が支払われる期間は長いものです。仮に子供が0歳時に離婚したとすると、足掛け20年近く支払いが続きます。

長い年月の間に、離婚した親たちの家庭事情や経済状況も変化していくことが考えられます。

例えば、それぞれ再婚をして再婚相手との間に新しい子供をもうけたり、転職や独立など収入に変化があることもあるでしょう。こうした場合に、何年も前に取り決めた養育費の額がだんだん妥当ではなくなっていくことが考えられます。

 

 

そのため、民法880条は、養育費が決定した後で、こうした状況に変化があった場合は、家庭裁判所に養育費の見直しのための調停や審判を申し立てることができる旨定めています。

増額が認められる事情の変化としては、別居親の収入が増えたときや、子供の成長とともに必要生活費が増えたというようなケースがあります。

逆に減額される可能性がある事情の変化としては、別居親が再婚し子供が生まれたことにより扶養家族が増えた、同居親の収入が増えた、同居親の再婚相手と子供が養子縁組をしたということがあげられます。

また、養育費は公立学校での進学を予定して計算されていますが、子供が私立の中学校、高校、大学に進学するケースなどで、事情変更が認められる可能性があります。

ただし、常に認められるわけではなく、両親の学歴、経済力、子供の学習意欲など様々な要素が加味されて決定されます。

 

4.養育費の取り決めは公正証書にしておきましょう

調停や審判、裁判で養育費を取り決める場合以外は、養育費の取り決めは、公正証書にしておきましょう。公正証書にしておくことで、将来養育費の支払いが滞納した場合に、強制執行をかけることができます。