養育費とその相場

 離婚にあたって大きな関心事になるのが、お子さんの問題です。日本の法律では共同親権が認められていないので、父母のどちらかが親権者(看護者)となり、親権者とならなかった側の当事者は相手方に養育費を支払うことになります。

 

養育費はお子さんが幸せに育つために重要なお金の問題であり、かつ原則的に毎月お子さんが成人するまで発生するものであるため、離婚にあたってもめ事となることも少なくありません。この記事では、養育費とその相場についてご説明します。

 

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1. 養育費は法律上必ず支払う義務がある?

養育費は法律上必ず支払う義務がある費用です。民法上、親は子供に対して、衣食住等の生活費や傷病時の病院代、教育費用について、子供が経済的に自立するまで負担するべきことが定めらています。これを扶養義務といい、モラルとして親が子を養うべきというほかに、法律上の親子関係であれば義務として発生するものです。親子の扶養義務は、両親が離婚したとしても変わらずに存続します。

 

2.養育費の金額はどう決めるべき?

養育費は、法律で明確に定められた金額はなく、基本的には父母の話し合いで、わが子に必要と考える金額を合意して決めるものとなります。金額で決めてよいのです。しかし現実問題としては、支払う側ともらう側の利益は対立しがちです。そのため、なかなか当事者間で合意が整わない場合に養育費の金額を決定するための基準が、裁判所により示されています。養育費の話し合いがまとまらず裁判等になった場合は、この基準に従って定められます。

 

 3.養育費算定表の見方

上述の裁判所による基準は、東京家庭裁判所のウェブサイト等で公開されています。

参考URL:http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

この算定表は、養育費の支払い義務がある親と、養育費を受け取る権利がある親権者の年収や子供の人数や年齢に応じたマトリックス表となっています。なお、この基準は、2019年12月に実に16年ぶりに改定されました。物価の上昇等を考慮して、従来の養育費基準では、子供の養育のためには少なすぎる金額であると判断されたためです。

 

 

表をご参照いただくとわかりますが、支払義務者の年収が高く権利者の年収が低い場合は、養育費月額は高くなります。親の扶養義務レベルは、親自身の生活レベルや教育レベルで子供が成長できるレベルとされているためです。支払義務者の年収がそれほど高くなく、権利者の年収が高い場合は、養育費はもう少し低い金額となります。養育費は父母が双方負担すべきという考え方から、権利者に十分な収入がある場合は調整がなされるからです。

 

 4.公的扶助は考慮すべきか

母子家庭等年収が低い世帯は、生活保護手当や児童手当等、国や市町村から給付を受けることができることがあります。この公的扶助は、養育費算定表を見る際に、養育費を受け取る権利者の収入に合算してみる必要はありません。これらの公的扶助は、家庭間で分担される私的な養育費とは別に、国策として支払われ福祉制度の一貫であるからです。

 

5.養育費はいつまでもらえる?

養育費の支払い期間は、未成熟な子が社会的に自立するまで、とされています。社会的に自立する時期は、基本的には子供が成人になるときと考えられています。しかし、昨今では、社会人として経済的に自立するのは、4年制大学卒業時の22歳ということも多いでしょう。また、両親ともに高学歴の場合大学院卒業時に就職するという考え方もあるでしょうし、逆に子供の希望によって高校卒業後は就職するという考え方もあるでしょう。したがって、ベースは成人時としつつも、ケースバイケースで支払い期間が延長または短縮されるケースも多くあります。

 

6. 最後に

いかがでしたでしょうか。養育費の相場について御参考になれば幸いです。