再婚禁止期間について

.厚生労働省が発表している統計データによると、夫婦の一方又は両方が再婚であるカップルは全体の3割弱程度いるようです。
離婚や再婚が珍しいことではなくなってきた昨今、離婚後新しいパートナーと再婚して今度こそは幸せな家庭を築きたいと願われる方もいらっしゃるでしょう。
ところで、女性については、離婚後一定期間再婚ができない再婚禁止期間というものがあることをご存知でしょうか。この記事では、再婚禁止期間の具体的な内容や制度趣旨、例外などの詳細をご説明します。
第6回】 女性の再婚禁止期間が短縮!社会に与える影響を探る | ZUU online


1. 再婚禁止期間とは?
再婚禁止期間は、民法733条1項に定められています。女性が離婚後再婚するためには、前の結婚解消又は取消し(ほとんどの場合、離婚のことを指します。)から合計100日間は待たなければいけません。再婚禁止期間は、女性にのみ定められているので、男性は離婚後すぐにでも再婚できます。
女性の再婚禁止期間中に婚姻届を提出しても、役所では戸籍上前婚の離婚日を把握していないので、受理してもらえません。この期間は我慢して交際期間とするか、一緒に暮らし始めるとしても内縁関係ということになります。

2.再婚禁止期間の趣旨
では、なぜ女性に対してのみ、法律は再婚禁止期間を課しているのでしょうか。
端的にいうと、女性は妊娠出産する機能を備えており、男性にはこれがないからです。
そして、女性は妊娠出産により産まれた子供が自分の子であることが確認できますが、男性はそうではありません。
再婚禁止期間は、前婚と後婚の間が近すぎることにより、再婚後に生まれた子供が、前の夫の子なのか後の夫の子なのか分からなくなるという混乱を招くために設けられました。

民法では、子供の父を定めるため、、「嫡出の推定」という規定を置いています。
具体的には、結婚後200日経過後に妻が出産した子どもの父は、現在の夫であると推定されます。また、離婚後300日以内に女性が出産した子どもの父は、前の夫と推定されます。

つまり、女性に再婚禁止期間がもしなくて、離婚の直後に再婚できるとすれば、離婚後300日以内かつ再婚後200日以降である100日間ほどの重複期間に子供が誕生した場合、その子は、法律上は前の夫の子供と推定され、重ねて今の夫の子供とも推定されることになります。法律上2人の父親が推定されてしまうのは、家族関係に混乱をきたしますので、もちろん不都合ですので、こうした事態を避ける必要があります。
そのため、二重の父親の推定を避けるため、
このような事態に陥って一番困るのは、生まれてきた子どもです。推定期間が重複する期間である100日が再婚禁止期間となりました。

3.再婚禁止期間の例外
上述のように、再婚禁止期間は、子供の父親が二重に推定されることを避けるために設けられたものですので、二重の推定のリスクがないような場合は、例外的に再婚禁止期間内でも再婚することができます。

例えば、離婚した相手と再婚する場合は、前夫も後夫も同一人物であるため、二重の推定があっても特に不都合がありません。けんかなどで衝動的に離婚したものの、冷静になってもう一度やりなおすような場合については、再婚禁止期間を待たずして前夫と再婚することができます。

また、離婚時に妊娠していないことを医師の診断書とともに婚姻届を提出する場合も、再婚禁止期間を待たずして再婚できます。民法上の父親の推定はあくまで推定であり、反証ができるものですので、医学的に前夫の子ではないことが証明できれば問題ないからです、共に

非常に例外的な話ですが、前夫が失踪3年以上経過したための離婚についても、再婚禁止期間内でも再婚できます。前夫とは3年以上コミュニケーションが取れていない状態であるので、子供の父親ではありえないためです。

4.最後に
いかがでしたでしょうか。父親の二重推定を避けるために民法上定められている女性の再婚禁止期間のあらましについて、ご参考になれば幸いです。