よくあるご相談「面会交流」をさせたくない

「養育費をもらっているから、元夫(妻)に子どもを合わせなくてはいけないんですよね」そんな質問をされることが増えました。この質問の答えについて、今回はお話していこうと思います。

面会交流は原則実施です。しかし、勘違いされる方が非常に多いのですが、面会交流は「養育費の支払いがあれば、親同士がお子様とお子様を引き取らなかった親を合わせること」を、義務としているものではありません。

原則は実施でも、事情や状況によっては実施する必要がないとされる場合もあります。以下でわかりやすく解説していきます。

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1:面会交流とは

そもそも面会交流とは、子どもと別居して生活している父母の片方が、子どもと定期的、かつ継続的に子どもと以下のような時間をもつことをいいます。

  • 会って話をする
  • 一緒に遊ぶ
  • 電話で会話をする
  • 手紙などのやりとりをする

そして、面会交流は子どものためのものであり、決して親の権利ではありません。そのため、面会交流の取り決めをする際には、子どもの気持ちを尊重する必要があります。また、生活リズムやスケジュールも、子どもに合わせて決めていきます。

 

2:なぜ面会交流をする必要があるのか

夫婦間の関係が悪化して、結婚生活が破綻してしまうことはあります。お互いにこれ以上顔を合せることで、精神的苦痛などの負担が生じる場合もあります。しかし、子どもにとっては人格形成のためには、両親からの愛情や、信頼関係を構築し続けることは大切です。

そのため子どもにとって、面会交流がメリットになる場合は、面会交流は必要であると判断されるのです。

 

3:面会交流の原則実施の例外(面会交流をする必要がない場合)

もし、面会交流をさせたくない(=制限したい)と考えるのであれは、以下で説明する制限の対象となる5つの要素に当てはまる場合は、面系交流を制限できる可能性が高くなります。

  1. 子ども自身が会いたがらない場合や年齢・心身面での影響・生活環境に及ぼす影響に問題が生じるとき
  2. 監護親の意思・養育への影響・生活状況など
  3. 非監護親の生活状況・問題がある場合
  4. 子どもと非監護親の関係
  5. 監護親と非監護親との関係に関する要素

(※監護親=子どもを引き取った親、非監護親=子どもと別居しているほうの親)

面会交流は子どもの権利であるとともに、子どもを守るためのものです。面会交流によって子どもが心身ともに不利益を被るような状況であれば、制限できる可能性が高くなります。

例えば相手側からの精神的・身体的な暴力などの被害を受ける恐れがある際は、面会交流が子どもの最善の利益に反するものとなります。また子どもへの直接的な暴力はなくとも、配偶者への暴力を振るうことも子どもへの虐待とされます。

このような場合は、具体的に問題点を主張することで面会交流をすべて制限できるケースが多くなります。

面会交流を制限したいのであれば、上記した5つの要素をきちんと主張することが大切です。「別れた配偶者に子どもを会わせたくない」という心情のみでの主張は認められません。

離婚後も面会交流を制限したいのであれば、親同士できちんと取り決めをしておく必要があります。

 

4:面会交流の取り決め

面会交流については、離婚時にしっかり親同士で話し合うことが大切です。養育費などの話合いと一緒に面会交流の頻度や方法などを決めて、書面に残しておく必要があります。以下の、「子どもの養育についての取り決めの合意書」のひな形をダウンロードして活用してもいいでしょう。(法務省の作成したひな形)

子どもの養育に関する合意書

ただし、相手が素直に面会交流の話合いに応じてくれない場合や、話合いに決着がつかないような場合は、家庭裁判所の家事調停手続きを利用することをおすすめします。

公正な立場の第三者の力を借りることは有効です。家庭裁判所にて、家事審判手続きをすることで裁判にて結論がでます。また、相手が取り決め事項を守らない場合は、強制執行の手続きをすることができます。

もし、ご自身ですべての手続きをこなすのが難しいようでしたら、離婚問題を得意とする弁護士に相談してみると良いでしょう。

 

5:最後に

離婚問題は非常に複雑です。とくにお子様のことが絡めば、より感情的になってしまう方も多くいます。しかし、面会交流の持つ意味をしっかり考え、お子様の健全な心身の成長によりよい状況を作り出すことを優先させることも親の責任です。

さまざまな状況をお抱えのなか、みなさまがよりよい選択をしていただけることをお祈りいたしております。