離婚時には「養育費」を離れて生活していく子供のために、支払い続けると言っていた元夫。しかし、最初のうちしか養育費がまともに払われず、気がつけばすっかり滞ってしまったりすることは、離婚後のトラブルとして非常によくあります。
このように離婚の際に調停調書や、公生文書などに「養育費の取り決め」について記載をしていたとしても、その約束が必ず履行されるとは限りません。
通常であれば、強制執行などの手続きをすることで預貯金銀行口座から、もしくは給与から強制執行で養育費を受け取れるようにすることができます。簡単に、諦める必要はありません。
先日紹介した記事も参考にしてみてください。
「リンク:「よくあるご質問 養育費が払われないときの手続き」」
ただし、連絡が取れなくなったり、元夫が転職などで元の会社を辞めてしまっていたり、転居などにより所在すらわからなくなってしまったという場合、泣き寝入りしてしまう人も多いでしょう。
1:従来の方法で「作り出された逃げるが勝ち」の現状
従来の法律では、元夫が転職したり転居などで所在がわからなくなってしまった場合、自分で相手の新しい職場や、預貯金のある金融機関名や支店などを調べる必要がありました。
連絡先や所在まで不明になってしまっている元夫を相手に、ここまでの情報を入手することは、素人にはなかなか難しいでしょう。結局はやりようがないので、諦めてしまうことになり「養育費は逃げたもの勝ち」の現状を作り出してしまっていました。
2:法改正により養育費の取り立てが楽になった
2020年に行われた法改正により、この未来を担う子供達を貧困から救うべく養育費不払いへの対策が進められています。
これにより、裁判所を通じて市区町村や銀行に「第三者からの情報取得手続き」ができるようになりました。
これは、養育費の取り決めをした時期が、法改正以前であっても適応されます。ただし、調停証書や公正文書、また和解調書や裁判離婚時の判決書などが無い場合は、手続きができません。
しかし方法はあります。
3:離婚時に正式な取り決めをしていなくても大丈夫
もし、離婚時に養育費の取り決めを正式にしていなかった場合は、今からでもいいので養育費の請求をおすすめします。(口頭約束だった場合など)
原則は、養育費を請求してからの時期の分の支払い義務となるので、過去にさかのぼって請求するということは、ほとんど認められていません。さらにここから先、子供が大きくなればなるほどお金は必要になります。
後になればなるほど、請求できるお金も少なくなるので早めの段階で、弁護士に相談することをおすすめします。
4:所在不明の場合も弁護士に相談を
転職・転居によって相手の所在が不明の場合は、まずは弁護士に相談してください。弁護士に依頼し、相手の住民票などを調査することによって所在を確認することができれば、再度強制執行手続きをし直すことができます。
この手続きをすることで、相手にも「払い逃げ」ができないことを知らせることができます。再度、払い逃げすることに対しての抑止力にもなることも期待できます。
5:最後に
離婚は、夫婦の間だけの問題ではありません。もし、子供がいる場合には、その子供の心身的な健康についても、しっかり考えて行く必要があります。
早く離婚をしたい気持ちが焦って、養育費の取り決めをうやむやにしてしまったり、「いらない」と言ってしまうケースも多いようですが、もう一度考えてみてください。養育費は夫婦間でどうこうするお金ではなく、子供のために本当に必要なお金です。
また、今回のように払い逃げされてしまったりしても、簡単に諦めてしまわないで欲しいと思います。もちろん、ただでさえ子育てや仕事などで時間のない監護者となる親には大変な手間になるとは思います。しかし、お金はいくらあっても困ることはありませんよね。そして、養育費はあくまで子供のために必要なお金です。1人で抱え込まずに、なるべく早い段階で弁護士に相談してみてください。