父親と子供の親権〜(4)離婚時に子供の親権を決める方法と流れ

離婚時に子供の親権を決める方法と流れをご紹介します。
離婚時に父母のどちらが親権を得るかに関わらず基本的な方法と流れは同じです。

 

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1:離婚時の子供の親権は父母の話し合いで決める

離婚時には財産分与や慰謝料、養育費などさまざまな離婚条件について決めます。
子供の親権についても離婚時の話し合いで父親にするか、それとも母親にするかを決めることになるのです。


すでにお話ししましたが、子供の親権が決まっていないと離婚届が受理されません。
子供の親権は離婚時に決める必須事項なのです。

 

離婚時に財産分与や親権などについて話し合いで決めたら、離婚協議書などを作成して話し合いで決めた内容をまとめます。


親権や財産分与、養育費などを夫婦の話し合いだけで決めるとトラブルになる可能性があるため、トラブル防止のために書面として残しておくのです。

 

話し合いには弁護士などの第三者に関与してもらうことも可能になっています。
親権を父親が得るか母親が得るか決まらず難航している場合は、他の離婚条件を決めることも含めて弁護士に入ってもらえば、争点や主張を整理でき、スムーズに子供の親権が決まることもあるのです。


子供の親権が話し合いで決まらない場合は裁判所の調停や裁判を利用する流れになります。

 

2:親権が決まらなければ裁判所で調停や裁判をする

調停で調停委員の関与のもとで親権を決めるときは、裁判所の調査官も関与することがあります。
裁判所の調査官が子供の意思や養育環境を確認するために家庭訪問をするなど、親権の判断材料となる情報収集にくるのです。


調査官の調査結果は親権が決まるときの重要な要素になるため、約束の時間を守り礼儀正しく接するなど、最低限の社会マナーを持って接しましょう。

親権が調停で決まらない場合は、最終的に裁判で親権問題に決着をつけるという流れです。

 

3:最後に

離婚時の子供の親権は母親が得やすいといわれています。
しかし、父親が親権を得られないというわけではありません。
父親が親権を得ることが子供の幸せにつながると判断されれば、父親が親権を得ることも可能です。

 

離婚時の親権は父母の話し合いで決めることが可能なので、夫婦が納得したうえで父親を親権者に定めることもできます。

 

父親がどうしても親権を得たい場合は、まずは親権問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。


親権問題に強い弁護士は父親が親権を獲得するために必要な条件なども細かに把握しているので、ケースに合わせた親権獲得のための行動が可能です。
まずは弁護士に相談し、親権を得るために動き出しましょう。

父親と子供の親権〜(3)離婚時に子供の親権を父親が得るケース

母親が親権を得るケースが多く、日本の子育ては母親主体でおこなわれるケースも多いため、離婚時の親権は母親が得やすいといわれます。


しかし、父親が親権を得られないわけではありません。
すでにお話ししましたが、親権の決定で重視されるのは子供の幸せであり、離婚後の子供の福祉や養育です。


父親が親権を得ることが子供の幸せにつながると裁判所が判断すれば、父親が親権を得ることも可能になっています。

 

仮に子供の親権を父親が獲得できるとして、どのようなケースで父親が親権を得られる可能性が高いのかが問題です。
離婚時に父親が親権を得られる可能性が高いケースを具体的にご紹介します。

 

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1:子供に母親からの暴力や罵声などがあった

いわゆる母親が子供に暴力をふるったり、言葉で傷つけたりといった虐待があったケースです。

親権は子供のために決められますので、子供に暴力をふるったり、罵声をあびせたりする母親に親権が認められることはありません。
中には子供の命に関わるケースもあるため、子供の命や身体的な安全を考えて父親側に親権を認めるケースもあるのです。

 

子供に母親の虐待があった場合は、父親が口で「虐待があった」と主張しても第三者は簡単に信用しません。

 

裁判官などの第三者に認めてもらうためには虐待の証拠が必要になります。
虐待の音源や写真、子供の診断書などを準備して、母親が子供におこなっている虐待を立証する必要があるのです。

仮に立証に成功すれば、子供の命や幸せのために、裁判所などは父親に親権を獲得させる可能性が高くなります。

 

2:母親が子供の養育を放棄している

母親が子供の養育を放棄している。
つまり、ネグレクトの状態です。
ネグレクトとは「食事を与えない」「入浴させない」「子供の世話をしない」「学校に行かせない」など、子供の生活に必要な衣食住などを母親が放棄していることをいいます。


食事を与えないだけでなく、子供を学校に行かせず家の中に閉じ込めている状態などもネグレクトに該当するのです。

ネグレクトの状態が続くと子供の成育だけでなく、精神にも影響を及ぼす可能性があります。


母親が子供の養育をしていないわけですから、父親が適切な養育ができると証明できれば、その分だけ父親に親権が認められる可能性が高くなるのです。

 

3:父親が離婚前も子供の養育に関わっていた

父親の養育実績が認められれば、父親が親権を得られる可能性があります。
この場合の養育実績とは「お風呂に入れた」「子供の学校のお迎えを何度かしていた」くらいでは基本的に足りません。

 

また、「仕事で収入を得て家庭に入れていたから十分」というわけでもないのです。
子供を育てるときに父親が母親と同等の養育をおこなっていたケースが原則になります。

 

日本では父親が外で仕事をして母親が家庭を守りながら子育てするのがよくあるパターンです。

 

しかしながら、中には逆のパターンで生活している家庭もあります。
母親が外で仕事をして父親が家事や育児などをおこなうパターンです。
この他に夫婦共働きで、どちらかというと仕事に融通が利く父親の方が子供の学校行事や生活への関与を主にしているパターンなども該当します。

 

このようなケースでは父親の養育実績を考慮して、父親が親権を得る可能性も高くなるのです。
父親に半年以上の養育実績があることがひとつの目安とされています。

 

4:父親側に子供を育てる環境が整っている

父親側に子育ての環境が整っていることを証明できれば、父親が親権を得やすくなります。

 

たとえば、母親側には収入が乏しく、仕事もなかなか抜けられない。
子供が学校から帰宅しても、子供のことをみてくれる人もいない。
対して父親の方は比較的仕事時間を子供に合わせやすく、子供の帰宅に合わせて両親が子供の世話をしてくれる。

 

父親と両親の関係も良好であり、子供も祖父母を慕っている。
このようなケースでは、父親側の養育環境や父親の父母のサポートが認められて、親権の判断時に父親側が有利になる可能性があります。

 

ただし、父親の両親など子供の養育をサポートしてくれる人と子供の仲が思わしくない場合はこの限りではありません。

 

5:父親が子供との時間をしっかり取れる

離婚後は子供の同居するのは父親または母親です。
親権を得て子供と同居するのに、子供との時間が忙しくて取れないでは養育が難しいはずです。

 

離婚後は「子供の時間が取れない」と困っても、サポートしてくれる母親はいないのです。
父親が子供のために時間を作る必要があります。

 

特に日本は父親がフルタイムで働いているケースが多いわけですから、仕事をしながらでも子供との時間をしっかり取れることや、子供に時間を使えるということを証明することが重要です。

 

職場などに協力を得られるのであれば、協力を得られる旨をアピールする。
自分が時間を作るように工夫するのであれば、その旨や時間を取ることが実現可能なことを証明してアピールする。

 

父親が子供のために時間を作れることを証明できれば、その分だけ親権を得られる可能性が高くなるのです。

 

6:離婚後に子供が父親と暮らすことを希望している

子供がある程度の年齢(10歳くらいの年齢)だと、離婚の際に両親のどちらと暮らしたいか等の意見をきくことがあります。
子供の意見は親権を決めるときに尊重されるのです。

 

中には子供に「お父さんと暮らそう」と吹き込む人もいますが、裁判所は専門家である調査官などを派遣して子供の心情を探らせるため、かえって不利に働く可能性があります。

 

調査官は数多くの離婚ケースや子供たちを見ているプロです。
子供の意思の誘導があればすぐに見抜きます。

 

子供の中には両親に気をつかって自分の意見や気持ちを伝えられない子もいるため、子供の意見をきくだけでなく、様子を確認したり、心情を調査したりするのです。
子供の気持ちが本当に「父親と一緒に暮らしたい」というものであれば、裁判所側も子供の気持ちに配慮します。

 

7:離婚後に父親が親権を得ることで子供の負担が増大しない

父親が親権を得ることにより離婚後の子供の生活において子供のストレスや負担が増大しないかどうかも判断ポイントになります。
父親が親権を得ることで子供がストレスや負担なく暮らせるのであれば、裁判所は父親を親権者に定める判断をする可能性があるのです。

 

たとえば、父親は家族で住んでいた家に離婚後も住み続けるとします。
収入状況も変わらず、子供も学区の変更などはありません。
対して母親を親権者にした場合は遠方への転居が必要になり、学業や習い事などにも大きな変化があるとします。

 

子供は学業や習い事に熱心であり、学校には仲の良い友人が多数いました。
生活の変化をあまり望んでいない状況でした。
このようなケースでは子供の生活への変化やストレスなどを考慮し、父親が親権を得る可能性もあります。

 

父親と子供の親権〜(2)父親が子供の親権を得る方法

前回から父親と子供の親権について解説をすすめております。

今回は、父親が子供の親権を得る方法について具体的にみていきたいと思います。

 

父親が親権を得るためにはどのような方法で進めればいいのでしょう。
親権を得るまでの方法と流れについて説明します。


父親が離婚のときに親権を得る流れは「話し合い」「調停」「裁判」です。
どのように進むのかわかりやすく見てみましょう。

 

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1:離婚時の親権はまず父親と母親の話し合いで決める

子供の親権は離婚時に夫婦の話し合いで決めることが可能です。
父親が親権を得たい場合は子供の母親(離婚する妻)に親権についての話し合いを申し入れる必要があります。


話し合いの段階で父親が親権を得ることを母親側が承諾すれば、父親が話し合いのみで親権を得ることが可能です。


母親が親権を父親が得ることを承諾せず自分も親権が欲しいという場合は話し合いで親権について決めることは難しくなります。

 

離婚時の親権の話し合いでは必ず夫婦二人で離婚条件や親権について決めなければならないというルールはありません。


親権がどうしても欲しい。
しかし、母親と親権について揉めそうである。
このような場合は弁護士を立てて母親側と親権についての交渉をお願いすることも可能です。

 

なお、離婚するときは子供の親権について母親が得るか父親が得るか決まっていなければ、離婚が受理されない取り扱いになっているため注意してください。
離婚届には子供の親権について記載する欄があり、欄が未記入だと受理されない取り扱いになっているのです。


両親が離婚してしまい、なおかつ親権者が決まっていないと、子供が生活できなくなってしまいます。

養育費や財産分与などは離婚前に決めていなければ離婚が受理されないというルールはありませんが、親権については決めておかないと離婚はできません。


父親と母親の話し合いで離婚時の親権が決まらなければ、裁判所の手続きを利用して子供の親権を決めることになります。

 

2:父親と母親の話し合いで決まらなければ調停を提起する

父親と母親の話し合いで親権を父親が得ることが決まらなければ、次は裁判所の手続きである調停を利用して決めます。
調停は裁判所の手続きの中でも話し合いとしての性質が強い手続きです。


裁判のように判決を受けるのではなく、調停委員という第三者が関与して話し合いをおこない子供の親権について決めるのが調停です。

調停の際は家庭裁判所の調査官などが家庭訪問をおこないます。


調査官の家庭訪問や父親、母親それぞれの主張などを出し合ったうえで親権をどちらが得るか決めるという流れになるのです。


親権はあくまで話し合いですから、夫婦がどちらも強固に子供の親権を主張していると、まとまらない可能性があります。


父親と母親のどちらが親権を得るかまとまれば調停は成立し、まとまらなければ不成立となります。


子供の親権についての調停が不成立になれば、裁判で親権を争うことになるのです。

 

3:離婚時の子供の親権が調停で決まらなければ裁判で決める

離婚時の親権が調停でも決まらなければ、最終的に裁判になります。
裁判には2通りの終わり方があります。


ひとつは子供の親権などについて父親と母親が双方の主張を出し合い、裁判官に判決をもらう方法です。
もうひとつは裁判中に父親と母親が和解する方法になります。
裁判は最終的な親権の決定方法です。


いずれの終わり方をするにしろ、離婚時に父親が親権を得られるかどうかは決着することになります。

父親と子供の親権〜(1)離婚時に子供の親権を父親が得にくい理由

子供の親権は母親が有利だといわれています。
果たしてこれは本当の話でしょうか。


離婚の際に子供の親権を得たいと思っている父親にとっては「親権は母親が有利」「親権を父親が得ることは難しい」といわれてしまうと不安を覚えるかもしれません。

 

親権は必ず母親が得るわけではありません。

離婚時に父親が親権を得ることもあります。

 

今回からしばらく父親と子ども親権について見ていきます。

この記事では、父親が親権を得にくい理由を紹介したいと思います。


親権が欲しいと思っている父親がおさえておきたい子供の親権を決める方法や流れも合わせて説明します。

 

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1:離婚時に子供の親権を父親が得にくい理由

一般的に離婚時の子供の親権は母親が有利で父親は得にくいといわれています。
もちろん父親が親権を得ることは不可能ではなく、父親が親権を得ているケースも実際にあります。
しかしながら、父親が親権を得にくいといわれていることには、それなりに理由があるのです。

まずは子供の親権について「父親は離婚時に親権を得にくい」といわれている理由について確認します。
父親が親権を得るための基礎知識として、親権を得にくいのはなぜなのかについて知っておきましょう。
父親が離婚時に親権を得にくい理由は4つあります。

 

その1:父親が親権を獲得しているのは10%に満たないというデータがある

父親が親権を得にくいことは司法統計を見ればわかります。
2017年の司法統計では、審判や調停の約2万件のうち、父親が親権を獲得したケースは10%に満たないという統計結果でした。

 

約2万件のうち父親が親権を獲得できたのは1,860件ほどになっており、9割は母親が親権を獲得しているという結果になっているのです。

 

司法統計の結果から、父親が親権を獲得しているケースが少ないことがわかります。
司法統計という実際のデータの裏付けから、父親が親権を獲得しにくいことがわかるのです。

 

その2:父親がフルタイムで働き母親が育児の中心を担っている家庭が多い

日本の養育でよくあるパターンとして、父親がフルタイムで働き母親が家庭や子育ての中心を担うケースがあります。

 

母親はパートや時短などで子供の保育園へのお迎え時間などに合わせて仕事をするのです。

父親が親権を得にくい理由のひとつとして、この日本のよくある家庭のパターンが挙げられます。

 

父親がフルタイムで働いていると、子供の時間に合わせることが難しくなります。
保育園などへお迎えに行こうとしても父親は仕事があるため迎えに行けません。
子供の生活リズムに合わせて仕事をすることも、フルタイムの勤務では難しいはずです。

 

そのため「子育ては難しいだろう」「今まで子供に合わせて生活していなかったのに、離婚したからといっていきなりできるわけがない」「子育て経験が乏しい」と判断されやすくなります。

 

母親は子供を中心に仕事や家庭のことをしているケースが多いため、必然的に母親の方が子育て経験や子供の生活リズムへの合わせやすさなどを考慮し、親権を得やすくなっているのです。

 

その3:裁判所が重視する先例には母親が親権を獲得しているケースが多い

裁判所は判例や先例などを重視する傾向にあります。
子供の親権の場合は裁判所が重視する先例に母親が親権を獲得しているケースが多いという事情があるのです。

 

司法統計などで母親が親権を獲得しているケースが多いという結果が出ている話はすでにしました。
母親が親権を獲得しているケースが多いわけですから、母親が離婚に際して子供の親権を獲得する先例が増えるのも当然ではないでしょうか。

 

母親が離婚のときに親権を獲得している先例を裁判所が重視して母親に親権を獲得させるため、父親は親権を得にくいという理由があるのです。

 

その4:子供が離婚後に母親と暮らすことを選択するケースが多い

子供の親権を決めるときは、ある程度の年齢の子供の場合は子供自身の意見をききます。
その際に子供が母親と暮らすことを選ぶケースが多いため、離婚のときに父親は親権を得にくくなっているのです。

 

日本では父親が仕事に専念し、母親は家庭や育児に専念するという家庭が少なくありません。
母親の方が子育てで中心的な役割を果たし子供と一緒にいる時間も長いことから、子供の方が「父親と母親が離婚するなら母親と暮らす」というケースも多いのです。

 

子供の意見は離婚時の親権決定のときに考慮されます。
そのため、子供の意見を重視する結果、父親は親権を得にくくなるのです。

 

 

2:親権は子供の幸せを考えて決められる

父親と母親が離婚するときは「親権は母親が得るべき」「このような基準に合致したら父親が親権を得るべき」といった明確な基準は存在しません。

 

子供の幸せを考えて父親と母親のどちらが親権を得るべきか決めるのです。
あくまで重要なのは子供の幸せで、両親の愛情や親権への意欲ではありません。
裁判でも子供の幸せを考えて親権が決められることになります。

 

たとえば、父親と母親がどちらも離婚時に子供の親権獲得を望んだとします。
このようなケースでは、子供が父親と母親のどちらに引き取られた方が幸せか、要するに子供の福祉につながるかを検討して決めるのです。

 

今まで母親が子供の養育に努め、保育園の迎えなども母親がおこなっていた。
子供が病気になったときも母親が看病し、母親の両親なども育児をサポートしていた。
対して父親も子供を愛していたが、フルタイムで仕事をしているので基本的な育児は母親に任せていた。

 

子供の看病や日常的な世話などはほぼしたことがない。
子供の福祉を考えれば、離婚後に父親と母親のどちらに育児を任せるべきでしょうか。
父親と母親それぞれ子供を愛していたとしても、子供の養育や福祉は愛情だけでははかれません。

 

このようなケースでは、子供の養育経験が豊富で子供の養育を優先かつ尊重できる母親が有利になると考えられます。
離婚時の子供の親権は子供に対する愛情のみではなく、現実的な子供の福祉や養育の点で判断されるのです。

 

離婚の原因を作ったかどうかは親権に関係ない

不貞行為などの離婚原因は子供とは関係のないことです。
子供の養育にとっても両親のどちらが離婚原因を作ったかは関係ありません。

離婚原因を母親が作ったからといって母親が親権を得られないわけではなく、父親が婚原因になったからといって父親が親権を獲得できないわけではないのです。

 

たとえば母親の不貞行為が原因で夫婦が離婚にいたりました。
離婚原因を作ったのは母親ですが、親権については母親が原因を作ったことや、不貞行為という事情は基本的にあまり関係ありません。

 

母親がそれまで育児に専念し、子供の養育経験が豊富で子供と過ごす時間が多かった、そして子供も離婚後に母親と暮らすことを希望しているなどのケースであれば、母親の不貞行為という離婚原因に関係なく母親が親権を得る可能性もあります。

 

なお、離婚原因が子供に関係がある場合は考慮されます。
たとえば離婚原因が暴力で子供にも被害が及んでいたなどの場合は、離婚原因が子供の親権を決める際に考慮されるのです。

 

ただ、基本的に親権は子供のためであり、離婚後の子供の福祉や養育のためのものですから、離婚原因を作ったかどうかや離婚原因については、子供の親権を決めるうえで別問題と考えた方が無難です。

養育費と住宅ローンの支払いがきついときのよくある質問と対処法(2)

住宅ローンや不動産の基本的な情報を確認したら、次は住宅ローンにどのように対処するかを考えます。

対処法は5つあり、住宅ローンの返済状況などによって対処法が変わってきます。

 

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1:住宅ローンの5つの処理方法

家を売却してきつい住宅ローンを解決する

きつい住宅ローン解決の代表的な方法として、家を売却する方法があります。
家を不動産売却して売却金できつい住宅ローンを清算するのです。
住宅ローンを清算できれば返済がひとつ減ります。

 

他に返済分がなければ養育費の支払いひとつになるため、支払い関係もシンプルになるはずです。
家を売却して売却金で住宅ローンを清算する方法は、住宅ローンの返済苦の解決方法などとして実際によく使われています。

 

ただし、家を売却して住宅ローンを解決する方法には注意点があります。
注意点は「オーバーローン」と「アンダーローン」になります。

アンダーローンとは、不動産の価値(売却価格)が住宅ローン残債を上回っていることです。

 

住宅ローン残債が600万円で家の価格が800万円などのケースを指します。
このようなケースでは家を売却することで住宅ローンを清算可能です。
売却金が住宅ローンの清算後に余れば、その分については家の持ち主の財産になります。

 

養育費の支払いをしながら名義人が住むケースでの対処法

住宅ローンがきつい場合の支払いですが、住宅ローン残債によってはそのまま住み続け、住宅ローンと養育費の支払いをすることもひとつの方法です。

 

たとえば住宅ローンの支払いがもうすぐ終わりそうである。
住宅ローン残債が少ない。

 

このようなケースではあえて家を売却する必要はないかもしれません。
住宅ローンの支払いが終われば負担が減るわけですから、もう少しの期間辛抱して払い続けるという方法もあるのです。

 

住宅ローンなどを払い元配偶者と子供が住むケースでの対処法

住宅ローンを名義人が支払い、元配偶者と子供などが家に住み続けるケースもあります。
このケースでは養育費と住宅ローンの相殺などがおこなわれたり、養育費の計算において住宅ローンの支払いが考慮されたりすることがあります。

 

もちろん住宅ローンの解決に不動産売却を使うことも可能です。
ただ、このケースでは住宅ローンの解決に不動産売却を使ってしまうと、元配偶者と子供の住む家がなくなってしまうという問題点があります。

 

滞納してもいずれ競売し、元配偶者と子供の家がなくなってしまいます。
住宅ローンを解決することも重要ですが、養育費負担の方に目を向けてはいかがでしょう。

 

養育費は収入状況などが変化した場合は減額できる可能性があります。
弁護士などに支払いがきつい状況について相談してみるとよいでしょう。

 

住宅ローンの債務者を変更する対処法

金融機関は、離婚したからといって住宅ローンの債務者の変更に応じてくれることはまずありません。

 

なぜなら離婚という事情は金融機関には関係がないからです。
金融機関が住宅ローンを組むときは債務者の資力などを審査したうえでお金を貸していますから、債務者を変更されると返済が不安定になり返してもらえないのではないかという不安もあるのです。

 

養育費の支払いがきついという理由があっても、それもやはり家族の事情ですから、金融機関にとっては関係のないことになります。
しかし、中には金融機関が債務者の変更を承諾するケースがあるのです。

 

たとえば夫が住宅ローンの債務者で年収が300万円、他にも支払いを抱えていたとします。

 

対して離婚した元妻は夫より収入が多く負債もなく、安定した仕事状況でした。このように、現債務者より返済面で有利だと判断できる債務者への変更は、金融機関側が承諾する可能性があります。
住宅ローンの債務者などを変更して対処するという方法もあるということです。

 

金融機関に住宅ローンの返済について相談する

住宅ローンを借りた金融機関に住宅ローンの返済について相談するという方法もあります。

 

相談しただけでは住宅ローンの返済をなくすことは当然ですができません。
しかしながら返済金額や返済期間の見直しなどには応じてくれる可能性があります。
たとえば月10万円の住宅ローンの返済がいくらか少なくなれば、その分だけ支払いがきつい状況は緩和されるはずです。

 

返済金額などを見直し、養育費や住宅ローンの支払いがきつい状況を緩和できるかシミュレーションしてみてはいかがでしょう。

 

2:養育費と住宅ローンの支払いがきついときのよくある質問

養育費と住宅ローンの支払いがきついときのよくある質問についてふたつほどご紹介します。

 

元配偶者の生活費や返済が増えると養育費も増えるのか

養育費はあくまで子供の養育のためのお金です。

 

離婚により元配偶者の生活費負担が重くなったり返済の負担が重くなったりするからといって、高額の養育費を請求されるケースがあります。
しかしながら養育費は子供のためのお金ですから、元配偶者の生活費や返済などを理由に増額する必要は基本的にないのです。
高額の養育費などを請求されて困っている場合は弁護士に相談してみるといいでしょう。
状況にあわせた養育費や住宅ローンへの対処法が見えてくるはずです。

 

公正証書の養育費などの取り決めは守らなければならないのか

公正証書で決めた内容は、住宅ローンと養育費の二重支払いがきついなどの理由によって破ることはできません。
公正証書で取り決めた約束を破ると、最悪の場合は強制執行のリスクがあります。
養育費と住宅ローンの支払いがきついときには、不動産売却による住宅ローンの清算といった方法があります。

 

他にも選択できる対処法が見つかるかもしれません。
弁護士に相談して、状況にあわせた対処法を検討してはいかがでしょう、

 

3:最後に

離婚後に養育費と住宅ローンのふたつの支払いが重なってしまうと、返済がきつい状況になってしまう可能性があります。

 

離婚前に対策を取ることも重要ですが、離婚後に住宅ローンの支払いなどを持ち越してしまっている場合はきついと感じた時点で対処することも重要です。
不動産売却による住宅ローンの清算といった方法がありますので、事情にあわせた方法で対処しましょう。

 

住宅ローンと養育費のきつい支払いで困り適切な対処法がわからないときは、まずは弁護士に相談し、適切な対処方法から検討していきましょう。

養育費と住宅ローンの支払いがきついときのよくある質問と対処法(1)

養育費と住宅ローンを払っていると、ふたつの支払いを同時に抱えることになります。
養育費だけでも負担が重い。住宅ローンだけでも大変だ。このような人はふたつの支払いの負担に苦慮することも少なくありません。

 

住宅ローンと養育費のふたつの負担に困っている人のために、住宅ローンと養育費のふたつの支払いを抱えている人の疑問点や対処法について解説します。

 

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1:養育費とは

養育費とは親が負担する子供を養育するための大切な資金です。
離婚すると夫婦関係は解消されます。しかし子供の親であることをやめることはできません。なぜなら離婚は親子関係を切る手続きではないからです。

 

離婚して妻(夫)と夫婦関係を解消しても、元妻(元夫)とは子育てを続けなければいけません。
離婚しても子供の扶養や養育の義務は残るのです。

 

離婚後の子育ては親権者と非親権者でやることが変わります。
一般的に親権者は子供と同居して子育てをおこないます。
非親権者は基本的に子供と同居せず、養育費の支払いというかたちで子育てをおこなうのです。

 

養育費の額は年収や子供の年齢、人数などにより変わってきます。
また、養育費は夫婦の話し合いによって柔軟に金額を決めることが可能です。
離婚のときに無理のない養育費の額を設定しても、別の支払いも抱えていれば支払い負担をきついと感じる可能性があります。

 

よくあるのは離婚後に養育費と住宅ローンなどふたつ以上の支払いを抱えてしまい、支払いがきつくなり苦慮するケースです。

 

住宅ローンと養育費の支払いがきつい場合はどのように対処するかが問題になります。

 

2:住宅の名義・価値と住宅ローンの内容を確認しよう

住宅ローンと養育費の支払いがきつい場合は、まず住宅ローンの支払いについて処理することを考えてみてはいかがでしょう。

 

養育費は子育ての大切な費用です。
支払い負担が厳しいからといって養育費を切ることは親である以上できません。養育費の支払いは親としての義務なのです。
だからこそ、まずは住宅ローンの支払いを処理できないか考える流れになります。
住宅ローンの支払いを解決できればきつい状況も自然に改善に向かう可能性があるのです。

 

ただ、住宅ローン対処を考えるといっても、住宅ローン自体の支払いをいきなりやめることはできません。
借りた以上は返さなければいけませんし、住宅ローンの滞納をすると家を競売されるリスクもあります。
家を取り上げられて競売されると転居を余儀なくされるなど、さらにきつい状況に陥る可能性も考えられるのです。

 

住宅ローンへの対処は順を追っておこなう必要があります。
まずは住宅の名義や価値、住宅ローンの内容の確認をおこないましょう。住宅ローンに対処するためにも、その住宅ローンの基本的な情報が必要になるからです。
それぞれの確認内容や情報の調べ方について見ていきましょう。

 

住宅の名義と確認方法

不動産の関係する手続きでは「名義人(不動産の持ち主)」が誰なのかが重要になります。
住宅ローンも住宅(不動産)の関係する契約ですから、名義人が誰になっているのか重要です。
きつい住宅ローンへ対処するための前提として、住宅の名義人を確認しておきましょう。
住宅の名義人は法務局で確認可能です。

 

契約している住宅ローンの内容

住宅ローンに対処するためには、契約している住宅ローンの内容を確認しておく必要があります。
きつい住宅ローンに対処しようにも、住宅ローンの返済が後何年残っているか等がわからないと、対処を間違うかもしれません。
正しく対処するためにも、住宅ローンの契約内容は忘れずに確認しておきましょう。

特に、連帯債務者については要確認です。
妻(夫)が連帯債務者になっているケースや夫婦双方が連帯債務者になっているケース、夫(妻)が連帯債務者になっているケースなどが考えられます。

 

返済が必要な住宅ローン残債

住宅ローンの残債がいくら残っているかも確認しておきましょう。
住宅ローンの残債が1,000万円単位である場合と残り30万円では対処が違ってきます。
残り30万円などの場合はボーナスや預金などが解決できるかもしれません。しかし高額の残債の場合はそのような対処は難しいことでしょう。
このように住宅ローンの残債によって対処が変わってくる可能性があるため、住宅ローン残債は必ず確認しておきましょう。

住宅ローンの残債についてわからないときは、住宅ローンを契約している金融機関に確認すればわかります。

 

住宅の価値(価格)

住宅の価値(価格)を確認しておくことも重要です。
住宅の価値によって住宅ローンへの対処の中で有効な方法が変わってくる可能性があります。

住宅の価値については不動産会社に査定を依頼することでわかります。不動産会社に住宅ローンがきついことなどを話し、査定してもらうといいでしょう。

 

 

3:最後に

養育費と住宅ローンの支払いがきついときのよくある質問と対処法の解説をしました。

次の記事では続編をお届けします。

離婚を早期に成立させるには

前回の記事では、協議離婚にかかる平均的な期間などを説明しました。

今回の記事では、離婚を早期に成立させるためのポイントなどをご紹介したいと思います。

 

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1:協議離婚が決まったら離婚協議書か公正証書の作成を

協議離婚が決まったら、話し合いで決めた離婚条件を離婚協議書や公正証書にまとめておくことが重要です。

 

離婚条件を口約束しても、配偶者が守るとは限りません。
離婚後に「そのような約束はしていない」「知らない」など、決めたはずの離婚条件を破る可能性もあります。

 

口約束の場合は証拠が何も残らないため、トラブルになっても協議離婚で決めた離婚条件を証明する手段がないのです。

 

協議離婚の際に決めた離婚条件の証拠を残す意味でも、離婚協議書または公正証書は作成しておきましょう。

 

離婚協議書を作成する方法はふたつあります。
ひとつは夫婦などが私的に離婚協議書を作成することで、もうひとつは公正証書を作成することです。

 

協議離婚する夫婦などが離婚協議書を作成する方法はシンプルです。
夫婦で話し合った協議離婚の条件を書面にまとめる。
以上で離婚協議書は完成です。
ただし、夫婦などが私的に離婚協議書を作成することは、あまりおすすめしません。

 

離婚協議書は証拠作りや、いざというときに離婚条件を守らせるために作成します。

私的な文書、要するに私文書では、後から「自分に都合の良い内容で離婚協議書を作ったのではないか」と言いがかりをつけられる可能性や、文言や条件が抜けていて証拠として使えなかったなどのトラブルが発生する可能性があるからです。

 

さらに、私的に作成した離婚協議書だと、いざというときに離婚条件を守らせるような法的効力はありません。

 

協議離婚が決まったら、離婚条件をまとめた公正証書の作成をおすすめします。

 

協議離婚の際の公正証書の作成方法

公正証書は公証役場で作成します。

 

公証役場の公証人は文書作成や法律のプロです。

公証人が介在して作成する公正証書は公文書にあたりますから、協議離婚する夫婦などが私的に作成する離婚協議書よりも強い証拠能力が認められます。

 

裁判所の裁判などでも証拠としての力を発揮するのが公正証書です。

 

公正証書は公証人が関与するため、協議離婚のときに決めた離婚条件を書き漏らす心配もありません。後から「勝手に作成したのではないか」と言いがかりをつけられるトラブルも回避可能です。

 

また、公正証書には私文書にはない強力な力が認められています。
公正証書に執行認諾文言(約束を守らなければ強制執行に服しますという文言)を入れておけば、配偶者が離婚条件を守らないときは即座に強制執行できるという効力があるのです。

 

協議離婚際の離婚条件は公正証書にまとめることをおすすめします。

 

2:離婚を早期に成立させるには

協議離婚は夫婦の話し合いによる離婚なので、早い期間で離婚がまとまるかどうかは、夫婦の話し合いがスムーズに進むかどうかにかかっています。

 

協議離婚を早期に成立させるためには、話し合いのときに4つのポイントに注意することが必要です。

 

協議離婚の際は離婚後の生活の準備をしておく

協議離婚はゴールではありません。
離婚後も生活は続きます。

 

協議離婚の際は離婚後の生活を考えて、話し合いを進めながら生活基盤を整えておきましょう。
調停や裁判も視野に入れる場合は、弁護士費用や裁判費用についても考えておきましょう。

 

協議離婚の際に別居する場合は、別居中の婚姻費用も請求できる可能性があります。
婚姻費用とは生活費のことです。
夫婦は別居してもお互いに支え合う義務があるため、別居していても婚姻費用を請求できます。

 

婚姻費用の請求についても考えておきましょう。

 

協議離婚で決めるべき内容をリストアップしておく

協議離婚の話し合いで離婚条件の決め忘れがあると大変です。
協議離婚で話すべき内容についてはあらかじめリストアップしておけば決め忘れを防止できます。

 

協議離婚で話し合いがまとまったらリストに打消し線を引くなど、工夫しておきましょう。

 

協議離婚では配偶者の納得を引き出すことも重要

協議離婚では配偶者に離婚について同意してもらわなければいけません。
なかなか同意しない配偶者に対しては、納得を引き出すためにも、配偶者にとってメリットのある離婚条件を提示するという方法があります。

 

たとえば配偶者に有利な財産分与を提示したり、慰謝料額で配偶者の要求を満たしたりするなど、配偶者のメリットも考えて協議離婚の話し合いを進めることで、離婚に同意してもらいやすくなります。

 

協議離婚を弁護士にサポートしてもらう

協議離婚だからといって弁護士に相談できないわけではありません。
協議離婚をスムーズに進めるためにも、離婚の専門家である弁護士に相談してサポートしてもらいましょう。

 

弁護士は協議離婚ついてもトラブルになりやすいところを把握しています。
トラブル防止のための秘訣や妥当な離婚条件のアドバイス、公正証書の作成など、要所について弁護士にアドバイスしてもらったり、サポートしてもらったりするといいでしょう。

協議離婚が進まない場合は、弁護士に間に入ってもらうことも可能です。

 

3:最後に

協議離婚にかかる平均的な期間は4ヵ月から半年になっています。
ただし、この期間は目安でしかありません。

 

協議離婚は夫婦の話し合いによる離婚ですから、夫婦の話し合いがスムーズに進めば目安期間より早く離婚が成立することもあります。

反対に話し合いが進まなければ、年単位で時間がかかることもあるのです。

 

協議離婚をスムーズに進めるために、弁護士に相談してポイントのアドバイスを受けておくことをおすすめします。

 

協議離婚にかかる期間は平均何ヶ月?

協議離婚とは3つの離婚方法のひとつです。

協議離婚で夫婦が離婚する場合、どのくらいの期間が目安になるのでしょうか。
この記事では協議離婚にかかる期間の平均や協議離婚で話し合うべき内容、話し合い後におこなうべきことなどをわかりやすく解説します。

 

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1:一般的な3つの離婚の種類

離婚には3つの種類があります。
離婚の3つの種類とは「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」のことです。

 

協議離婚は今回の記事で取り上げる離婚方法になります。
協議離婚とは、夫婦の話し合いでおこなう離婚です。
法律には離婚の際は必ず裁判や調停を使ってくださいというルールは定められていません。

 

夫婦が話し合って離婚を決め、そのうえで離婚届を提出すれば離婚可能です。
このように夫婦の話し合いによって離婚するケースが協議離婚です。
日本の離婚の90%はこの協議離婚による離婚になっています。

 

調停離婚とは、裁判所の調停手続きでおこなう離婚です。
離婚調停とは、裁判所の手続きの中でも話し合いとしての性質が強い手続きになります。

 

当事者で離婚について話し合い、問題解決をはかる手続きが離婚調停です。
離婚調停で離婚話がまとまって離婚する場合は、調停離婚になります。
日本の離婚の中で9%は調停離婚です。

 

裁判離婚とは、裁判で決める離婚になります。
離婚調停や離婚協議で離婚が決まらなかったときなどに、裁判所に離婚裁判を申し立てて、判決による離婚を求めるのです。
離婚裁判でおこなう裁判離婚は、日本の離婚の中で1%ほどになっています。

 

 

2:協議離婚にかかる期間はケースによって変わるが平均4~6ヵ月

離婚協議で離婚する場合、夫婦の離婚が成立するまでどのくらいの期間が必要になるのでしょうか。
協議離婚するうえで知っておきたい協議離婚成立までの平均期間について知っておきましょう。

 

協議離婚は早ければ即日離婚できる

協議離婚は夫婦の話し合いによる離婚です。
よって、話し合いがまとまるかどうかが離婚までの期間に関係します。

 

離婚協議が即日まとまれば、即日離婚が可能です。
夫婦で離婚を決めて離婚届を窓口に提出するこの流れで即日離婚できます。
離婚が1時間で決まって離婚届も1時間以内に提出して受理されれば、1時間以内というスピード離婚も可能なのです。

 

協議離婚がどのくらいの期間で成立するかは夫婦によってかなり差があります。
夫婦の話し合いがまとまらなければ1年以上かかる可能性もあるのです。
協議離婚成立までの期間はケースバイケースになっています。

 

協議離婚までの平均期間は4~6ヵ月ほど

協議離婚が成立するまでの世間的な平均期間は4~6ヵ月ほどになっています。

 

離婚協議が即日まとまれば、即日の離婚も可能です。
しかし、離婚がそこまでスムーズに決まらないことも少なくありません。
また、夫婦双方が離婚に同意していても、離婚条件がなかなか決まらないケースもあります。

 

協議離婚の際に離婚を決め、さらに離婚条件を決める。
その内容を離婚協議書にまとめる。
離婚協議書の作成が終わり、離婚届を提出する。

 

以上の流れを一通りこなす場合、数ヵ月ほどの期間を見る必要があります。
よって、協議離婚成立までの期間の目安としては4~6ヵ月ほどという結論です。

 

ただ、すでにお話ししたように、協議離婚の成立までの期間は夫婦の話し合いがスムーズに進むかどうかでケースバイケースになっています。

 

離婚協議書などを作成しても、もっと早く協議離婚が成立するケースもあるのです。
反対に財産分与など離婚条件で揉めてしまい、協議離婚の成立までもっと長い期間を要することもあるため、注意してください。

 

協議離婚成立までの4~6ヵ月はあくまで平均期間であり、ひとつの目安です。

 

 

3:協議離婚をする際に話し合うべき内容とは

離婚協議により協議離婚する場合は、7つのことを話し合う必要があります。

 

(1)離婚するかどうか

離婚協議は夫婦が「離婚するかどうか」を決める話し合いです。
協議離婚成立のための前提でもあるので、まずは離婚するかどうかについて話し合い、夫婦双方の意思を確認しておきましょう。

 

そのうえで、離婚協議で決めるべき他の内容について話し合うという流れで協議離婚を進めます。

 

(2)財産分与

財産分与とは、離婚するにあたって夫婦の財産をわける(分与する)ことです。
夫婦で築いた財産を離婚後別々の人生を歩む夫と妻でわけるのです。

 

財産分与は基本的に2分の1ずつですが、夫婦の事情や財産状況にあわせて話し合いで柔軟に決めることが可能になっています。
必ずしも2分の1ずつでなくてもかまいません。

 

財産分与の対象になるのは預金や不動産、有価証券、自動車や家財なのです。
財産分与の対象にならないのは個人の預金や夫婦の片方が相続した財産などになります。

 

(3)年金分割

夫婦が離婚するにあたり年金分割の対象になるのは厚生年金と共済年金です。
国民年金は年金分割の対象外になります。

厚生年金や共済年金に加入している場合は年金分割について話し合う必要があります。

 

(4)親権

夫婦の間に子供がいる場合は、子供の親権について決めなければいけません。
離婚後は基本的に親権を取った親が子供と暮らします。

 

離婚届には子供の親権者について記載する欄があります。
協議離婚の際に離婚することに夫婦が合意しても、親権者を決めて離婚届に記載しなければ離婚できないという取り扱いです。

 

親権を持たない側の親は子供と面会する権利があります。
子供との面会の日時や場所、回数、連絡を取るときの方法など、子供と親の面会について決めておくことも必要です。

 

(5)養育費

子供がいる場合は養育費について決めることも必要です。
養育費は子供の養育のためのお金で、離婚後に子供と同居しない親が支払うことが一般的になります。

 

養育費の目安額は子供の年齢や人数、親の職業や年収によって変わってきます。
裁判所で公開している「養育費算定表」で確認できます。

 

ただ、養育費算定表の金額はあくまで目安なので、家庭事情や収入状況にあわせて離婚する夫婦が話し合いで柔軟に決めて差し支えないことになっています。

 

(6)配偶者や子供の名字(姓)

日本では結婚の際に夫の姓を名乗るのが一般的です。
離婚した妻は夫の姓を使い続けるか、それとも旧姓に戻るか決めなければいきません。

 

子供は手続きしなければ、夫の姓を使い続けることになります。
子供と妻の姓をどうするか、協議離婚の話し合いの際に決めておきましょう。

 

(7)慰謝料

慰謝料は協議離婚で必ず発生するお金ではありません。
夫婦の間に特定行為があり、配偶者の片方を精神的に傷つけた際に発生するのが慰謝料です。

 

慰謝料が発生するような事由がなければ、慰謝料の請求は基本的にできません。
慰謝料の請求事由になるのは、次のような行為です。

 

  • 不貞行為(肉体関係をともなう浮気や不倫)
  • DV
  • モラルハラスメント
  • 悪意の遺棄(婚姻生活への不協力)
  • 性交渉の不在や忌避

 

慰謝料の相場は50~300万円ほどといわれていますが、事由によって相場が変わる他、婚姻期間や内容などによっても金額が変動します。


慰謝料は最終的にケースバイケースで判断されるのです。

 

4:最後に

協議離婚にかかる平均的な期間は4ヵ月から半年になっています。
ただし、この期間は目安でしかありません。

 

次回の記事では、離婚を早期に成立させるためのポイントなどをご紹介したいと思います。