よくあるご相談「面会交流」をさせたくない

「養育費をもらっているから、元夫(妻)に子どもを合わせなくてはいけないんですよね」そんな質問をされることが増えました。この質問の答えについて、今回はお話していこうと思います。

面会交流は原則実施です。しかし、勘違いされる方が非常に多いのですが、面会交流は「養育費の支払いがあれば、親同士がお子様とお子様を引き取らなかった親を合わせること」を、義務としているものではありません。

原則は実施でも、事情や状況によっては実施する必要がないとされる場合もあります。以下でわかりやすく解説していきます。

f:id:ririko_rikon:20201124100323j:plain

1:面会交流とは

そもそも面会交流とは、子どもと別居して生活している父母の片方が、子どもと定期的、かつ継続的に子どもと以下のような時間をもつことをいいます。

  • 会って話をする
  • 一緒に遊ぶ
  • 電話で会話をする
  • 手紙などのやりとりをする

そして、面会交流は子どものためのものであり、決して親の権利ではありません。そのため、面会交流の取り決めをする際には、子どもの気持ちを尊重する必要があります。また、生活リズムやスケジュールも、子どもに合わせて決めていきます。

 

2:なぜ面会交流をする必要があるのか

夫婦間の関係が悪化して、結婚生活が破綻してしまうことはあります。お互いにこれ以上顔を合せることで、精神的苦痛などの負担が生じる場合もあります。しかし、子どもにとっては人格形成のためには、両親からの愛情や、信頼関係を構築し続けることは大切です。

そのため子どもにとって、面会交流がメリットになる場合は、面会交流は必要であると判断されるのです。

 

3:面会交流の原則実施の例外(面会交流をする必要がない場合)

もし、面会交流をさせたくない(=制限したい)と考えるのであれは、以下で説明する制限の対象となる5つの要素に当てはまる場合は、面系交流を制限できる可能性が高くなります。

  1. 子ども自身が会いたがらない場合や年齢・心身面での影響・生活環境に及ぼす影響に問題が生じるとき
  2. 監護親の意思・養育への影響・生活状況など
  3. 非監護親の生活状況・問題がある場合
  4. 子どもと非監護親の関係
  5. 監護親と非監護親との関係に関する要素

(※監護親=子どもを引き取った親、非監護親=子どもと別居しているほうの親)

面会交流は子どもの権利であるとともに、子どもを守るためのものです。面会交流によって子どもが心身ともに不利益を被るような状況であれば、制限できる可能性が高くなります。

例えば相手側からの精神的・身体的な暴力などの被害を受ける恐れがある際は、面会交流が子どもの最善の利益に反するものとなります。また子どもへの直接的な暴力はなくとも、配偶者への暴力を振るうことも子どもへの虐待とされます。

このような場合は、具体的に問題点を主張することで面会交流をすべて制限できるケースが多くなります。

面会交流を制限したいのであれば、上記した5つの要素をきちんと主張することが大切です。「別れた配偶者に子どもを会わせたくない」という心情のみでの主張は認められません。

離婚後も面会交流を制限したいのであれば、親同士できちんと取り決めをしておく必要があります。

 

4:面会交流の取り決め

面会交流については、離婚時にしっかり親同士で話し合うことが大切です。養育費などの話合いと一緒に面会交流の頻度や方法などを決めて、書面に残しておく必要があります。以下の、「子どもの養育についての取り決めの合意書」のひな形をダウンロードして活用してもいいでしょう。(法務省の作成したひな形)

子どもの養育に関する合意書

ただし、相手が素直に面会交流の話合いに応じてくれない場合や、話合いに決着がつかないような場合は、家庭裁判所の家事調停手続きを利用することをおすすめします。

公正な立場の第三者の力を借りることは有効です。家庭裁判所にて、家事審判手続きをすることで裁判にて結論がでます。また、相手が取り決め事項を守らない場合は、強制執行の手続きをすることができます。

もし、ご自身ですべての手続きをこなすのが難しいようでしたら、離婚問題を得意とする弁護士に相談してみると良いでしょう。

 

5:最後に

離婚問題は非常に複雑です。とくにお子様のことが絡めば、より感情的になってしまう方も多くいます。しかし、面会交流の持つ意味をしっかり考え、お子様の健全な心身の成長によりよい状況を作り出すことを優先させることも親の責任です。

さまざまな状況をお抱えのなか、みなさまがよりよい選択をしていただけることをお祈りいたしております。

 

 

 

 

海外の離婚事情

日本では離婚する夫婦の数が増えつつあり、3組に1組は離婚していると言われています。 一方、世界に目を向けると、どのような離婚事情になっているのでしょうか。
婚姻は各国の国内法による制度であり、その国の歴史や宗教観も影響するので、離婚のしやすさや制度、条件などは国によって違います。
この記事では、気になる海外の離婚事情や制度についてご説明します。

 

f:id:samuraigyou:20200911140152j:plain

 
1. 宗教による各国の離婚制度の特徴
欧米諸国ではカトリックを国教としている国も多いですが、カトリックは生涯1人の伴侶と添い遂げることをよしとした教えでもあり、離婚については厳格な要件を求めている国も多いです。

例えば、カトリックの国フランスでは、正式な婚姻関係を結んだ夫婦が離婚する場合、日本での離婚に比べて様々な手続きが求められ、それほど簡単には離婚が認められません。
ただ、フランスには事実婚制度に該当するパックス制度があります。パックス制度は同性・異性カップルどちらもが利用可能な制度であり、結婚と同様のパートナー間の相続や税金待遇が認められています。そして、結婚と異なり、どちらかの意思表示のみで簡単に解消できるので、より手軽なパックス制度を利用する人も多いようです。

一方、イギリスは比較的離婚しやすく、婚姻後1年間は離婚できないという制限はあるものの、夫婦の半数が、結婚後10年以内に離婚しているようです。これには、歴史的、宗教的な背景もあります。エリザベス一世の父、ヘンリー八世は、新しい妃と結婚したいがためにエリザベス女王の母と離婚しようとしたところ、当時の国教であるカトリックのローマ法王から離婚が認められませんでした。そこで、ヘンリー8世はわざわざ離婚を許容する英国国教会という宗派をイギリスの国教とし、現在のイギリスでも国教として存続しています。 このような経緯から、他のヨーロッパの国に比べると離婚に抵抗がない国民も多いようです。

2. 配偶者の有責性をあまり問題としない国もある
日本の離婚は、有責主義を基調としているといわれています。民法で定められた法定離婚原因5つに該当しない限り、相手の同意なく離婚することはできません。また、法定離婚原因を作った側の配偶者は有責配偶者として、有責配偶者側から離婚を求める裁判をすることはできません。法定離婚原因の中の不貞行為等は民法上の不法行為にも該当しますので、慰謝料請求原因ともなります。

ところが、諸外国によっては、離婚にあたって配偶者の有責性を日本のようには評価しない国もあります。

たとえば、アメリカでは「無責離婚法」という法律があります。不倫や虐待など有責事由がなくても、どちらか一方が希望すればそれだけで離婚可能とする法律です。このような制度もあり、アメリカもイギリスと同様、世界的に見ても特に離婚率が高い国で、2組に1組のカップルが離婚しているといわれています。
この考え方は、有責主義に対して破綻主義ともいわれています。どちらかに有責事由がなくても、夫婦関係が既に破綻している(どちらかが結婚の継続を希望していない)のであれば、結婚を継続させる意味がないという考えの現れと言えます。

アメリカ人もカトリックを信仰する人が多く、離婚に抵抗がない人ばかりではありませんが、上記のような法律や婚姻自体を無効とする宣言をすることが認められているなど、比較的離婚をしやすい制度の国といえます。

また、カナダでは有責事由による慰謝料という考え方はないため、日本の様に不倫慰謝料等を請求することはできないようです。

 

3.最後に

いかがでしたでしょうか。日本の離婚事情とはまた一味違う、海外諸国の離婚事情についてご参考になれば幸いです。

離婚と子供の姓

このブログの別の記事でも書かせていただきましたが、離婚に際しては子供の姓をどうするか検討する必要があります。離婚の相談をいただくとき、子供の苗字は変えたほうがよいのかどうかというご質問をよくいただきます。基本的には、親権者となったほうの親が子供の状況をみて最適と思うほうを選択すればよく正解はありませんが、この記事では子供の苗字を変えるべきか否か悩まれた際の考え方の一例をお伝えします。

f:id:ririko_rikon:20200901175328p:plain

 1.離婚と苗字の基礎知識

日本では夫婦別姓は認められていないので婚姻すると夫婦どちらかの姓(多くの場合は夫側の姓)を名乗ることになり、夫婦間に生まれた子供の姓もその姓となります。離婚時には、妻は旧姓に戻るか婚姻時の苗字をそのまま名乗るかを選択することができます。婚姻時の苗字をそのまま名乗る場合、子供の苗字を変えなくても、親権者と子供の苗字は同じになるのであまり問題は発生しません。

しかしながら、離婚理由によっては、自分が別れた相手の苗字を名乗り続けたり、子供に名乗らせたりすることに抵抗があることもあるでしょう。そのような方は旧姓に戻されることになりますが、母親が旧姓に戻しただけでは、自動的に子供の苗字が母親と同じになるわけではありません。子供の苗字を母親の苗字に揃えるためには、裁判所に対して、子の氏の変更申立てをする必要があります。

子の氏の変更申立てをせず、親権者である母と子供の苗字を別としておくという選択肢もありえますが、生活するうえで支障がでたり、心理的にも違和感があったりすることが多いので、母親が旧姓に戻る場合は、子の氏の変更を選択される方が多いようです。

それでは、自分や子供の苗字を変えるべきか悩んだ場合はどうすればよいでしょうか。

 

  1. 再婚の予定がある場合は、苗字を変えるのを待つという選択肢もある

母がまだ若いなど近い将来再婚の可能性が高い場合、再婚により再婚相手の苗字になる可能性があることを考慮する必要があります。離婚時に母の旧姓に苗字を変更し、再婚時に再婚相手の苗字に変更するとなると、何度も苗字を変えなくてはいけないことになり、子供の負担が大きくなるからです。このような場合は、一旦婚氏続称し、再婚時に1回のみ苗字が変わるようにするという考え方もひとつです。

 

3.子供の年齢や本人の意思

離婚時に子供がある程度の年齢にさしかかっていて、長年使ってきた苗字に愛着を持っていたり、変えることを嫌がったりする場合は、婚姻時の苗字を使い続けたほうがよいかもしれません。子供が別居親にも愛着が強い場合は、断絶された感覚にならないよう、婚姻時の苗字を使いたいという気持ちもあるかもしれません。逆に離婚時に乳幼児などでまだ苗字についてよく理解していなかったり、特に愛着がなかったりするようであれば、苗字を変えてしまってもいいでしょう。

 

また、タイミングとして子供の学校の学期途中などで苗字を変えると、学校の先生や友達に理由を聞かれたり、両親の離婚を知られたりして、子供が嫌な思いをする可能性もあります。可能であれば、進級や引っ越しのタイミング等、子供の苗字が変わったことが気づかれにくいタイミングにして、子供に負担がないように配慮をしてあげたいところです。

 

学期途中での離婚で苗字を変更する場合は、子供に元の苗字を通称名として使わせて良いか学校に相談してみることも一案です。多くの学校では、こうした場合での旧姓での通称名の使用を許可してくれているようです。卒業証書などの公式な書類には戸籍上の本名が使われますが、日常の学校生活では、通称名で問題なく過ごすということも可能です。

 

  1. 最後に

いかがでしたでしょうか。離婚に際して、自分や子供の苗字を変えるべきか否かの検討に少しでもご参考になれば幸いです。

モラハラと離婚について

いわゆるモラハラ、モラルハラスメントによる離婚は近年増えています。モラハラとはいったいどのような状態をいい、モラハラが認定された場合どのような対応がとれるのでしょうか。この記事では、モラハラと離婚についてご説明します。

 モラハラ夫の特徴まとめ26個と対処方法!弱点・復讐・仕返しと離婚方法 | Spicomi

 

1, モラハラとは?

モラハラとは、モラルハラスメントの略称をいいます。ドメスティックバイオレンスの一種ですが、殴る蹴るなど肉体的な暴行ではなく、暴言や無視などにより相手に精神的な虐待をすることをいいます。結婚生活は長期にわたりますし、仲が近い分、夫も妻もモラハラの潜在的な加害者にも被害者にもなりえるといえます。

精神的な虐待になるか否かは、当事者間の人間関係や被害者の価値観や性格にもよって異なるので判定が難しいこともありますが、例えば性格や能力、容姿をけなすような発言、自分の指示に盲目的に従うような強制、実家や友人関係を断絶するような要請等、一方的なコミュニケーション拒絶などの事態があって、被害者の方が苦痛に感じている場合は、一度モラハラに該当するのではないかという可能性を考えてみてもよいでしょう。

家庭内のモラハラはクローズな空間であることや、他人に打ち明けづらいということから、被害者がぎりぎりまで我慢してしまうという事態も多発しています。不安に思ったりストレスがたまったりしている場合は、迷わず専門家に相談しましょう。

 

2.モラハラ被害にあった場合の解決方法

まずは、専門機関に相談してみましょう。すぐに離婚を希望している場合でないとき、緊急性が低い場合は市町村など自治体に設置されている男女共同参画センターの女性相談窓口や、民間で信頼できる夫婦関係調整カウンセラー等に状況を相談してみるのがよいでしょう。第三者を入れての夫婦間のコミュニケーションによってはじめて、モラハラの加害者である配偶者が、自分がモラハラをしているという可能性を自覚するということもあります。モラハラは、加害者自身が、自分の幼少期の両親の関係や親から直接受けてきたモラハラに悪影響を受けて知らず知らずやってしまうことも傾向的に多いと言われています。

 

話し合いや第三者の介入によってもモラハラが解決せず、離婚による解決を模索する場合は、まずはモラハラの客観的な証拠を集めるようにしましょう。家庭内というクローズな環境でのモラハラは人目に触れにくいので、調停や裁判になったときに第三者に客観的なモラハラの事実を証明する証拠を取ることが必要です。

 

一概にはいえませんが、モラハラ加害者は被害者を束縛したいという気持ちが強いことも多いですので、被害者がモラハラによる離婚を求めても離婚に合意しないケースが多いようです。日本の法律では、離婚は民法第770条第1項上の法定離婚事由が認められない限り、相手が同意しないと離婚をすることができません。

モラハラは行為の程度や内容によっては、上述する法定離婚事由の中の「悪意の遺棄」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することがありますので、離婚したい場合はこの事由に匹敵するほどの被害があることを証明する必要があるのです。

 

モラハラの存在の証拠集めとしては、モラハラがいつどこでどのようになされたのかを具体的に示せるものを探す必要があります。例えば、モラハラが行われている際の音声データや動画データをスマホやICレコーダーで記録したり、メールやSNSの記録を取っておいたりする手段があります。また、最中の記録がなかなかとれなくても、継続的に日記をつけたり行政や警察、病院との相談記録を取っておいたりすることも有効です。

 

3.最後に

モラハラを立証することができれば、相手の同意がなくても裁判離婚ができたり、また場合によって精神的苦痛に対する慰謝料請求もできたりします。モラハラに苦しまれている方は、是非一度専門家に相談してみましょう。

養育費はあとから変更されることがある?

養育費は、子供と離れて暮らす親がその子の扶養のために、養育している側の親に支払うお金です。養育費は通常離婚時に決められ、毎月一定額を子供が成人等するまで支払われるものです。

子供が小さいときに離婚している場合などは、養育費の支払いは長期にわたります。支払期間中に義務者側も権利者側も、転職、再婚など生活面において様々な変化があることも多いです。そのため、離婚の際に養育費について取り決めをしたとしても、支払期間中の事情の変更によっては、養育費の減額や免除、増額がなされることがあります。

この記事では、養育費が離婚後に変更になる場合についてご説明します。

 養育費の支払いが厳しい…減額は可能? | 弁護士の法律Q&A | Felia ...

 

1.養育費の変更

 上述のように、養育費の支払い期間は通常長期間にわたりますので、当初とりきめた養育費の額が、その後の家族の身分関係や、両親の経済状況の変化によっては妥当ではなくなることがあります。そのため、民法766条3項では、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、以前の取り決めを変更することができると規定しています。養育費が変動になる典型的な例は、支払義務者側に大幅な経済状況の変化(転職、失業などによる収入の増加や減少や、権利者が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合などがあります。

 

2.養育費変更の具体的な手続き

養育費については、当初取り決められた金額が生活の実体に合わなくなってきたとどちらかの当事者が感じたら、まず養育費の減額や免除、あるいは増額を求めて、相手方に話し合いを求めるという流れになります。

当事者間の話し合いで、変更について納得が得られれればそのとおり変更となります。養育費の変更の取り決めを当事者間で協議で決める場合は、公正証書にしておくことがおすすめです。

協議で決まればスムーズですが、やはり通常は義務者側はなるべく支払いを押さえたいと考えますし、権利者側はなるべく多くもらいたいと考えます。

そこで、折り合いがつかない場合は、金額の変更を求める側が調停を起こし、調停手続きの中で、調停あるいは審判で、変更の是非や変更後の金額を決めていくということになります。

 

 3.再婚と養育費の変更

養育費が変更になる要因の一つとして、義務者あるいは権利者の再婚がありますが、ケースにより変更になる場合とならない場合があります。まず、養育費を受け取っている義務者のほうが再婚した場合は、義務者が再婚した相手と子供が養子縁組をし、新たな配偶者に収入がある場合は、養育費の減免が認められる可能性があります。

養子縁組をすると、養親と養子の間には、実の親子同様扶養義務が発生します。普通養子縁組では、養子縁組をしても実親である義務者との親子関係がきれるわけではないのですが、養親がいる以上、養親は非養育親である義務者より第一義的な扶養義務を負うことになるからです。一方、再婚相手が子供と養子縁組をしていなければ、一緒に暮らしていたとしても法的には親子ではありませんので、養育費には影響がありません。

 

 

では、養育費を支払っている義務者のほうが再婚した場合はどうなるでしょうか。

この場合も、ケースバイケースですが、減額が認められることがあります。

再婚相手は配偶者になりますので、例えば再婚相手が専業主婦などで収入がなければ、義務者の扶養家族となります。また、再婚相手との間に新たに子供が生まれたり、再婚相手の連れ子を養子にした場合、その子供達にも扶養義務が発生します。このように扶養義務を負う相手が増えたことによって、養育費の減額が認められる可能性があるのです。

4.最後に

いかがでしたでしょうか。養育費の取り決めが離婚後に変更になる場合について、ご参考になれば幸いです。

 

 

法定離婚原因とは

 法定離婚事由という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。日本の家族法は有責主義を基調としており、単に愛情がなくなったというようなあいまいな理由では、相手の同意なく離婚することはできません。一方、法定離婚事由がある場合は、相手が離婚を拒否していたとしても、裁判をすることにより強制的に離婚することができます。

この記事では、法定離婚事由についてご説明します。

f:id:ririko_rikon:20200813114808p:plain


 

1・法定離婚事由とは

民法第770条に定められています。これによれば、夫婦の一方は、以下の5つかのいずれかの事情がない限り、裁判所に対し離婚を求める訴えを提起することができません。

5つの事情とは、①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときになります。

 

2.法定離婚事由を知っておくことの意義

離婚したいのに相手が応じてくれない、または離婚したくないのに相手が離婚を迫ってくるような場合は、夫婦の状態に法定離婚事由が存在するかどうかを分析しておくことが非常に大切です。

法定離婚事由があれば、相手に拒否されたとしても裁判で強制的に離婚ができますし、

逆にそういった事情がないのであれば、訴えをおこしたとしても時間と手間の無駄になってしまいますので、相手を説得するなど他の方法を考えたほうがよいでしょう。

また、法定離婚事由を作った側の配偶者を有責配偶者といいますが、原則として有責配偶者の側から離婚訴訟をおこすことはできません。そのため、離婚を迫られていたとしても、法定離婚事由がなかったり、相手が有責配偶者であれば何ら慌てる必要はないのです。

 

3.法定離婚事由の具体的内容

①不貞行為とは

結婚すると夫婦はお互いに相手以外とは肉体関係を持たないという貞操義務をおいます。この貞操義務に反して、配偶者以外の者と肉体関係を もつことを不貞行為といいます。不貞行為がある場合、法定離婚原因であるとともにもに不法行為でもあるので、慰謝料請求もすることができます。

 

②悪意の違棄とは

悪意の違棄とは、民法第752条上の夫婦間の義務を片方が放棄することです。民法第752条は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定めており、日常生活や経済的に協力し合うべきことを求めています。

悪意の遺棄と判定される例としては、理由なく配偶者に必要な生活費を渡さない、就労可能な状態なのに働かない、理由なく同居を拒否したり、頻繁に家出を繰り返したり、逆に配偶者を家から追い出すような行為があります。

 

 

 

 

 ③配偶者の生死が3年以上明らかでない

配偶者の行方がわからなくなってしまい生死不明な状態で、最後の連絡や消息があった時から起算して3年以上経過した場合です。

生死不明な状態であることの証明として、警察への捜索願の提出や、失踪した配偶者の勤務先等から陳述書を用意してもらう必要があります。

なお、3年以上の生死不明の場合は、他の法定離婚事由による離婚が調停前置主義であることの例外として、調停をせずに裁判で離婚することとなります。調停で話し合いをすべき相手方がいないので、調停が意味をなさないからです。

 

また、離婚成立後に、配偶者が生きていたことが判明しても確定した判決には影響しません。 

 

 

④回復の見込みがない強度の精神病

配偶者が重い精神病にかかってしまい治療によっても回復の見込みがない場合、夫婦が今後協力して家庭を築くことができないと判断され、離婚が認められることがあります。

 ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」はキャッチオール規定とされ、1号から4号にはあてはまらないものの、夫婦生活を続けられないような重大な理由がある場合となります。例えば、長期間の理由のない別居、DV・モラハラなどはこれに該当します。

4.最後に

いかがでしたでしょうか。法定離婚原因についてご参考になれば幸いです。

調停手続きにおける審判とは

日本での離婚の多くは当事者間の話し合いである協議離婚で決まりますが、話し合いがうまくいかないときは、調停を前置とした裁判手続きで行うことになります。

ところで、離婚調停の途中で調停が審判に切り替わることがあることをご存知でしょうか。審判離婚は全体の1%未満でありあまり利用されていないこともあるので、耳慣れない方もいらっしゃるかと思います。この記事では、審判離婚等についてご説明します。

f:id:ririko_rikon:20200812111943p:plain


1.審判離婚とは?

 審判離婚は、家事事件手続法の第284条に定めがあります。離婚調停がはじまったものの、なかなか調停が成立しない場合において、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判所の職権で調停に代えて審判をすることができるというものです。

ご存知のとおり、調停は当事者間の合意であるのに対して、審判は家庭裁判所がその職権で判断を下すものです。

この点では裁判離婚と似ていますが、裁判手続きと比べると、調停手続きの中で実施されるので申立て手続きや費用の面で、当事者に負担が少ない方法といえます。また、調停と同様審判手続きは非公開になりますので、裁判と比べて当事者のプライバシーが守られるというメリットがあります。

審判離婚は、これまで利用されることが少なかったのですが、近年徐々に利用数が増えているようです。

 

2.審判となる具体的な事例

調停の中で審判に移行するのは、具体的にはどのようなケースなのでしょうか。

端的にいうと、当事者が離婚すること自体には合意しており、調停がまとまらない理由が比較的些細な問題である場合になります。

また、当事者の一方が、理由なく調停手続きの進行を引き延ばしていたり、出頭しなくなった場合もこれ以上当事者の話し合いに委ねても進行が望めないので審判となります。

せっかくこれまで時間をかけて調停を進めてきて、もうすぐ離婚が成立しそうであることにもかかわらず些細なことで不成立になってしまい改めて訴訟とするのでは、当事者の負担も大きく、訴訟経済上も非効率です。

そのため、こうした場合は、裁判所のイニシアチブで離婚を進めるという審判が選択されます。また、審判には即時抗告という異義申立て手続きが用意されているので、裁判所の職権で決めてしまったとしても、当事者に大きな不利益があるわけではありません。

また、審判は、離婚の有無そのもの以外にも、養育費の定め、慰謝料請求、面会交流の条件の決定でも使われます。

 

3.審判離婚の流れ

上述のように、離婚調停の申し立てや調停上の話し合いが一定程度進んだあと、ほぼ離婚について合意が得られたものの、調停成立が困難になるような事情が発生した場合、調停の担当裁判官が、審判とする旨判断をします。審判が終了し、どちらの当事者も内容に異存がない場合は、申立人は裁判所から審判確定証明申請書、審判書謄本、審判確定証明の交付を受けたうえで、市町村の役場に離婚届を提出します。

なお、当事者が、はじめから審判離婚を求めることも可能ですが、審判の有無は裁判所の職権になるので、裁判所が調停から開始したほうが適当と判断した場合は、調停からスタートするということになります。

 

4.審判結果に納得がいかない場合

調停で合意ができなかったわけですから、裁判所の決定内容にどちらかの当事者が納得いかないことももちろんあるでしょう。こうした場合は、審判に対する異議申し立て手続きである「即時抗告」をすることが可能です。 

異義申立が可能な期間としては、当事者が審判書謄本を受領してからから2週間以内となりますので、注意しましょう。 

当事者のどちらかが異義申立を行った場合、審判は失効、手続きは家庭裁判所から控訴審である高等裁判所にうつります。高等裁判所では、書面審理を行い審判内容を審理しますので、異義がある当事者は、審判の内容をくつがえすための証拠等を提出して出張を行うことになります。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか。審判離婚についてご参考になれば幸いです。

再婚禁止期間について

.厚生労働省が発表している統計データによると、夫婦の一方又は両方が再婚であるカップルは全体の3割弱程度いるようです。
離婚や再婚が珍しいことではなくなってきた昨今、離婚後新しいパートナーと再婚して今度こそは幸せな家庭を築きたいと願われる方もいらっしゃるでしょう。
ところで、女性については、離婚後一定期間再婚ができない再婚禁止期間というものがあることをご存知でしょうか。この記事では、再婚禁止期間の具体的な内容や制度趣旨、例外などの詳細をご説明します。
第6回】 女性の再婚禁止期間が短縮!社会に与える影響を探る | ZUU online


1. 再婚禁止期間とは?
再婚禁止期間は、民法733条1項に定められています。女性が離婚後再婚するためには、前の結婚解消又は取消し(ほとんどの場合、離婚のことを指します。)から合計100日間は待たなければいけません。再婚禁止期間は、女性にのみ定められているので、男性は離婚後すぐにでも再婚できます。
女性の再婚禁止期間中に婚姻届を提出しても、役所では戸籍上前婚の離婚日を把握していないので、受理してもらえません。この期間は我慢して交際期間とするか、一緒に暮らし始めるとしても内縁関係ということになります。

2.再婚禁止期間の趣旨
では、なぜ女性に対してのみ、法律は再婚禁止期間を課しているのでしょうか。
端的にいうと、女性は妊娠出産する機能を備えており、男性にはこれがないからです。
そして、女性は妊娠出産により産まれた子供が自分の子であることが確認できますが、男性はそうではありません。
再婚禁止期間は、前婚と後婚の間が近すぎることにより、再婚後に生まれた子供が、前の夫の子なのか後の夫の子なのか分からなくなるという混乱を招くために設けられました。

民法では、子供の父を定めるため、、「嫡出の推定」という規定を置いています。
具体的には、結婚後200日経過後に妻が出産した子どもの父は、現在の夫であると推定されます。また、離婚後300日以内に女性が出産した子どもの父は、前の夫と推定されます。

つまり、女性に再婚禁止期間がもしなくて、離婚の直後に再婚できるとすれば、離婚後300日以内かつ再婚後200日以降である100日間ほどの重複期間に子供が誕生した場合、その子は、法律上は前の夫の子供と推定され、重ねて今の夫の子供とも推定されることになります。法律上2人の父親が推定されてしまうのは、家族関係に混乱をきたしますので、もちろん不都合ですので、こうした事態を避ける必要があります。
そのため、二重の父親の推定を避けるため、
このような事態に陥って一番困るのは、生まれてきた子どもです。推定期間が重複する期間である100日が再婚禁止期間となりました。

3.再婚禁止期間の例外
上述のように、再婚禁止期間は、子供の父親が二重に推定されることを避けるために設けられたものですので、二重の推定のリスクがないような場合は、例外的に再婚禁止期間内でも再婚することができます。

例えば、離婚した相手と再婚する場合は、前夫も後夫も同一人物であるため、二重の推定があっても特に不都合がありません。けんかなどで衝動的に離婚したものの、冷静になってもう一度やりなおすような場合については、再婚禁止期間を待たずして前夫と再婚することができます。

また、離婚時に妊娠していないことを医師の診断書とともに婚姻届を提出する場合も、再婚禁止期間を待たずして再婚できます。民法上の父親の推定はあくまで推定であり、反証ができるものですので、医学的に前夫の子ではないことが証明できれば問題ないからです、共に

非常に例外的な話ですが、前夫が失踪3年以上経過したための離婚についても、再婚禁止期間内でも再婚できます。前夫とは3年以上コミュニケーションが取れていない状態であるので、子供の父親ではありえないためです。

4.最後に
いかがでしたでしょうか。父親の二重推定を避けるために民法上定められている女性の再婚禁止期間のあらましについて、ご参考になれば幸いです。