前回の記事では、協議離婚にかかる平均的な期間などを説明しました。
今回の記事では、離婚を早期に成立させるためのポイントなどをご紹介したいと思います。
1:協議離婚が決まったら離婚協議書か公正証書の作成を
協議離婚が決まったら、話し合いで決めた離婚条件を離婚協議書や公正証書にまとめておくことが重要です。
離婚条件を口約束しても、配偶者が守るとは限りません。
離婚後に「そのような約束はしていない」「知らない」など、決めたはずの離婚条件を破る可能性もあります。
口約束の場合は証拠が何も残らないため、トラブルになっても協議離婚で決めた離婚条件を証明する手段がないのです。
協議離婚の際に決めた離婚条件の証拠を残す意味でも、離婚協議書または公正証書は作成しておきましょう。
離婚協議書を作成する方法はふたつあります。
ひとつは夫婦などが私的に離婚協議書を作成することで、もうひとつは公正証書を作成することです。
協議離婚する夫婦などが離婚協議書を作成する方法はシンプルです。
夫婦で話し合った協議離婚の条件を書面にまとめる。
以上で離婚協議書は完成です。
ただし、夫婦などが私的に離婚協議書を作成することは、あまりおすすめしません。
離婚協議書は証拠作りや、いざというときに離婚条件を守らせるために作成します。
私的な文書、要するに私文書では、後から「自分に都合の良い内容で離婚協議書を作ったのではないか」と言いがかりをつけられる可能性や、文言や条件が抜けていて証拠として使えなかったなどのトラブルが発生する可能性があるからです。
さらに、私的に作成した離婚協議書だと、いざというときに離婚条件を守らせるような法的効力はありません。
協議離婚が決まったら、離婚条件をまとめた公正証書の作成をおすすめします。
協議離婚の際の公正証書の作成方法
公正証書は公証役場で作成します。
公証役場の公証人は文書作成や法律のプロです。
公証人が介在して作成する公正証書は公文書にあたりますから、協議離婚する夫婦などが私的に作成する離婚協議書よりも強い証拠能力が認められます。
裁判所の裁判などでも証拠としての力を発揮するのが公正証書です。
公正証書は公証人が関与するため、協議離婚のときに決めた離婚条件を書き漏らす心配もありません。後から「勝手に作成したのではないか」と言いがかりをつけられるトラブルも回避可能です。
また、公正証書には私文書にはない強力な力が認められています。
公正証書に執行認諾文言(約束を守らなければ強制執行に服しますという文言)を入れておけば、配偶者が離婚条件を守らないときは即座に強制執行できるという効力があるのです。
協議離婚際の離婚条件は公正証書にまとめることをおすすめします。
2:離婚を早期に成立させるには
協議離婚は夫婦の話し合いによる離婚なので、早い期間で離婚がまとまるかどうかは、夫婦の話し合いがスムーズに進むかどうかにかかっています。
協議離婚を早期に成立させるためには、話し合いのときに4つのポイントに注意することが必要です。
協議離婚の際は離婚後の生活の準備をしておく
協議離婚はゴールではありません。
離婚後も生活は続きます。
協議離婚の際は離婚後の生活を考えて、話し合いを進めながら生活基盤を整えておきましょう。
調停や裁判も視野に入れる場合は、弁護士費用や裁判費用についても考えておきましょう。
協議離婚の際に別居する場合は、別居中の婚姻費用も請求できる可能性があります。
婚姻費用とは生活費のことです。
夫婦は別居してもお互いに支え合う義務があるため、別居していても婚姻費用を請求できます。
婚姻費用の請求についても考えておきましょう。
協議離婚で決めるべき内容をリストアップしておく
協議離婚の話し合いで離婚条件の決め忘れがあると大変です。
協議離婚で話すべき内容についてはあらかじめリストアップしておけば決め忘れを防止できます。
協議離婚で話し合いがまとまったらリストに打消し線を引くなど、工夫しておきましょう。
協議離婚では配偶者の納得を引き出すことも重要
協議離婚では配偶者に離婚について同意してもらわなければいけません。
なかなか同意しない配偶者に対しては、納得を引き出すためにも、配偶者にとってメリットのある離婚条件を提示するという方法があります。
たとえば配偶者に有利な財産分与を提示したり、慰謝料額で配偶者の要求を満たしたりするなど、配偶者のメリットも考えて協議離婚の話し合いを進めることで、離婚に同意してもらいやすくなります。
協議離婚を弁護士にサポートしてもらう
協議離婚だからといって弁護士に相談できないわけではありません。
協議離婚をスムーズに進めるためにも、離婚の専門家である弁護士に相談してサポートしてもらいましょう。
弁護士は協議離婚ついてもトラブルになりやすいところを把握しています。
トラブル防止のための秘訣や妥当な離婚条件のアドバイス、公正証書の作成など、要所について弁護士にアドバイスしてもらったり、サポートしてもらったりするといいでしょう。
協議離婚が進まない場合は、弁護士に間に入ってもらうことも可能です。
3:最後に
協議離婚にかかる平均的な期間は4ヵ月から半年になっています。
ただし、この期間は目安でしかありません。
協議離婚は夫婦の話し合いによる離婚ですから、夫婦の話し合いがスムーズに進めば目安期間より早く離婚が成立することもあります。
反対に話し合いが進まなければ、年単位で時間がかかることもあるのです。
協議離婚をスムーズに進めるために、弁護士に相談してポイントのアドバイスを受けておくことをおすすめします。