離婚をする際に、全ての夫婦が当事者だけの円満な話し合いにより離婚できるわけではありません。離婚は男女間の複雑な感情に法律や財産の問題が絡むため、当事者間の話し合いが感情的になりがちなテーマであるともいえます。当事者同士の話し合いにより状況が悪化してしまいそうな場合は、第三者であり法律の専門家である弁護士に間にはいってもらって離婚協議を進めるのがスムーズな解決策です。ところで、離婚問題を弁護士に頼もうかと検討する場合に気になることが、弁護士費用ではないでしょうか。
離婚前後には引っ越し等の生活の変化などお金を使う場面が増えるので、弁護士費用がどの程度かかるのかが心配になる方もおられると思います。
1.弁護士費用は事務所によって異なる
弁護士に支払う金額は、弁護士事務所により異なります。従前は、日本弁護士連合会が一律の弁護士報酬の基準を定めていたのでどこの事務所に頼んでも同じ費用でしたが、弁護士費用の自由化によりこの統一基準はなくなりました。そのため、事務所ごとの方針により、パートナーといわれるシニア弁護士やアソシエイトといわれるジュニア弁護士の時間給は異なります。そのため、依頼を検討している事務所から見積もりをとり、比較検討しててみることをおすすめします。もっとも、旧日弁連の基準にしたがって報酬を設定している事務所が多いので、事務所による金額の差異はそれほど大きくないと思われます。
2、離婚案件でかかる弁護士費用とは?
2.1 相談料
離婚問題を相談するにあたり、まずはご自身の状況や今後希望する方向性を弁護士に相談する必要があります。この際のコンサルティング費用は、相談にかかる時間に応じて計算されることが多く、例えば1時間1万円というように設定されます。相談の結果、例えば離婚調停や裁判を委任する場合、初回相談料は無償としてくれる弁護士事務所もあります。
2.2着手金
離婚問題の解決を正式に委任すると、弁護士が事件に着手するにあたっての着手金を払う必要があります。
2.3 成功報酬
離婚問題が無事解決した時点で弁護士に支払う報酬です。成功報酬は依頼者が弁護士への依頼により得られた経済的利益の数パーセントとなります。例えば、不倫による離婚の場合は、得られた慰謝料や財産分与の額の数パーセントを弁護士に支払う必要があります。依頼者としては、成功報酬は実際にもらえる金額の一部を弁護士に支払えばよいので、資金繰りに不安がある場合は、着手金の割合を減らして成功報酬の割合を増やすことができないか弁護士に相談してみることがおすすめです。
2.4 日当・実費
弁護士に出張などをお願いする場合別途日当が発生したり、依頼内容によっては費用実費が別途必要になることもあります。
3.離婚の弁護士費用の相場
離婚は調停前置主義といって、裁判の前にまず調停をおこす必要があります。調停の代理人を弁護士に依頼した場合の相場は30万円から70万円程度、調停が成立せずそのまま訴訟に進んだ場合は合計で70万円から110万円程度が相場となります。なお、離婚の是非のみならず、養育費や財産分与が争点となっている場合は、より弁護士費用が上がる可能性はあります。
4.弁護士費用の支払いが難しい場合
弁護士事務所の無料法律相談や法テラスなどで法律相談を受けることができます。また、弁護士事務所によっては弁護士費用の分割払いに応じてくれるところもあります。
離婚慰謝料や財産分与をある程度受け取れる見込みがあるときは、なるべく着手金ではなく成功報酬の割合をあげてもらうという方法もあります。
5.最後に
いかがでしたでしょうか。離婚問題を弁護士に委任する場合の費用の目安についてご参考になれば幸いです。