不倫慰謝料

芸能人の不倫がニュースを騒がせたりしていますが、配偶者の不倫が発覚すると、被害者は大きな精神的痛手を負います。どのように対応するかは夫婦関係や被害者の価値観にもよりますが、浮気をした配偶者や不倫相手から、精神的損害を填補する不倫慰謝料をもらいたいと考える方も多くいらっしゃると思います。
この記事では、不倫慰謝料の概要、相場、請求方法などをご説明します。

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1. 不倫慰謝料とは
結婚している男女は互いに貞操義務を負うため、他の異性と肉体関係を持つことが禁じられます。不倫はこの貞操義務に反するものですので、浮気をした配偶者は、被害者である配偶者に対し、民法上の不法行為をしたことになり、損害賠償義務を負うこととなります。
不倫相手は、もし既婚者であることを知りながら、または当然気がつくべき状況下で不倫関係にあえて陥った場合は、故意過失により不倫相手の配偶者の法律上の利益を害したことになるので、やはり損害賠償責任を負います。
不倫をしたカップルは、被害者への損害賠償債務について連帯責任を負います。
つまり、被害者としては、不倫をした自分の配偶者に対しても、不倫相手に対しても、どちらか一方に満額請求することもができ、不倫をしたカップルはそれぞれ半分ずつ請求してくれというような主張はできません。

2. 不倫慰謝料の相場
不倫慰謝料の金額は、法律上で定められたものではないので、当事者間で合意すればどのような金額でも構いません。ハリウッドスターなどで数億円単位の慰謝料の支払いなども聞いたことがありますよね。しかし、通常は支払う側はなるべく安く、もらう側はなるべく多くもらいたいものですので、相場を意識した示談交渉がなされます。
不倫慰謝料の相場、裁判で争われ決着がついた金額を元にしており、およそ50万円~300万円程度となります。
相場は、夫婦や不倫の状況により異なり、不倫により被害者に与えられたダメージが大きいほど高くなります。具体的には、不倫後夫婦関係を修復する場合であれば50万円~100万円,不倫を原因として夫婦が別居した場合は100万円~200万円,不倫により夫婦が離婚に至った場合は200万円~300万円が目安です。

3. 慰謝料の金額に影響する要素
裁判になった場合に実際に決まる慰謝料の金額を左右する要素としては、夫婦の属性や年齢差、婚姻期間、不倫前の家庭の円満度、子供の有無などの夫婦の状況があります。また、不倫関係の長さ、頻度、どちらにイニシアチブがあったのかなど、不倫をした当事者の要素も考慮されます。不倫を否認したり、一度もうしないと誓ったのにもか変わらず再発したりした場合は、加害者の責任が重く認められがちです。
4. 不倫慰謝料の請求方法
不倫相手に慰謝料請求をする場合は、まずは内容証明郵便などを送り、それから示談交渉にはいることが一般的です。加害者が素直に示談交渉に応じる場合は、公正証書などで示談書をつくり、合意した金額を支払ってもらいます。
加害者が任意に示談に応じない場合は調停や訴訟で決着をつけることになります。
いずれにしても、早い段階から、離婚問題に詳しい弁護士に間に入ってもらったほうが被害者の精神的負担も軽く、示談交渉や訴訟もスムーズに進みやすいと考えられます。

5. 注意しておきたいこと
不倫慰謝料を請求するとき、もう離婚の決意を固めている場合は、上述のように自分の配偶者にも不倫相手にも心置きなく請求をしても問題ないでしょう。一方、不倫相手からは慰謝料は貰いたいけれど、離婚する気はない場合は注意が必要です。この場合は、自分の配偶者からは慰謝料をもらう気はないことが一般的ですので、不倫相手に満額請求することになります。ところが、満額支払わされた不倫相手は、共同不法行為者である不倫相手に負担を求める求償請求が可能です。こうなると、せっかく慰謝料をもらっても家計からお金が逆戻りしてしまいますので、例えば慰謝料を減額する代わりに不倫相手に求償権を放棄してもらうなどの工夫が必要です。

6. 最後に
いかがでしたでしょうか。不倫慰謝料についてご参考になれば幸いです。