法定離婚原因とは

 法定離婚事由という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。日本の家族法は有責主義を基調としており、単に愛情がなくなったというようなあいまいな理由では、相手の同意なく離婚することはできません。一方、法定離婚事由がある場合は、相手が離婚を拒否していたとしても、裁判をすることにより強制的に離婚することができます。

この記事では、法定離婚事由についてご説明します。

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1・法定離婚事由とは

民法第770条に定められています。これによれば、夫婦の一方は、以下の5つかのいずれかの事情がない限り、裁判所に対し離婚を求める訴えを提起することができません。

5つの事情とは、①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときになります。

 

2.法定離婚事由を知っておくことの意義

離婚したいのに相手が応じてくれない、または離婚したくないのに相手が離婚を迫ってくるような場合は、夫婦の状態に法定離婚事由が存在するかどうかを分析しておくことが非常に大切です。

法定離婚事由があれば、相手に拒否されたとしても裁判で強制的に離婚ができますし、

逆にそういった事情がないのであれば、訴えをおこしたとしても時間と手間の無駄になってしまいますので、相手を説得するなど他の方法を考えたほうがよいでしょう。

また、法定離婚事由を作った側の配偶者を有責配偶者といいますが、原則として有責配偶者の側から離婚訴訟をおこすことはできません。そのため、離婚を迫られていたとしても、法定離婚事由がなかったり、相手が有責配偶者であれば何ら慌てる必要はないのです。

 

3.法定離婚事由の具体的内容

①不貞行為とは

結婚すると夫婦はお互いに相手以外とは肉体関係を持たないという貞操義務をおいます。この貞操義務に反して、配偶者以外の者と肉体関係を もつことを不貞行為といいます。不貞行為がある場合、法定離婚原因であるとともにもに不法行為でもあるので、慰謝料請求もすることができます。

 

②悪意の違棄とは

悪意の違棄とは、民法第752条上の夫婦間の義務を片方が放棄することです。民法第752条は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定めており、日常生活や経済的に協力し合うべきことを求めています。

悪意の遺棄と判定される例としては、理由なく配偶者に必要な生活費を渡さない、就労可能な状態なのに働かない、理由なく同居を拒否したり、頻繁に家出を繰り返したり、逆に配偶者を家から追い出すような行為があります。

 

 

 

 

 ③配偶者の生死が3年以上明らかでない

配偶者の行方がわからなくなってしまい生死不明な状態で、最後の連絡や消息があった時から起算して3年以上経過した場合です。

生死不明な状態であることの証明として、警察への捜索願の提出や、失踪した配偶者の勤務先等から陳述書を用意してもらう必要があります。

なお、3年以上の生死不明の場合は、他の法定離婚事由による離婚が調停前置主義であることの例外として、調停をせずに裁判で離婚することとなります。調停で話し合いをすべき相手方がいないので、調停が意味をなさないからです。

 

また、離婚成立後に、配偶者が生きていたことが判明しても確定した判決には影響しません。 

 

 

④回復の見込みがない強度の精神病

配偶者が重い精神病にかかってしまい治療によっても回復の見込みがない場合、夫婦が今後協力して家庭を築くことができないと判断され、離婚が認められることがあります。

 ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」はキャッチオール規定とされ、1号から4号にはあてはまらないものの、夫婦生活を続けられないような重大な理由がある場合となります。例えば、長期間の理由のない別居、DV・モラハラなどはこれに該当します。

4.最後に

いかがでしたでしょうか。法定離婚原因についてご参考になれば幸いです。

調停手続きにおける審判とは

日本での離婚の多くは当事者間の話し合いである協議離婚で決まりますが、話し合いがうまくいかないときは、調停を前置とした裁判手続きで行うことになります。

ところで、離婚調停の途中で調停が審判に切り替わることがあることをご存知でしょうか。審判離婚は全体の1%未満でありあまり利用されていないこともあるので、耳慣れない方もいらっしゃるかと思います。この記事では、審判離婚等についてご説明します。

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1.審判離婚とは?

 審判離婚は、家事事件手続法の第284条に定めがあります。離婚調停がはじまったものの、なかなか調停が成立しない場合において、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判所の職権で調停に代えて審判をすることができるというものです。

ご存知のとおり、調停は当事者間の合意であるのに対して、審判は家庭裁判所がその職権で判断を下すものです。

この点では裁判離婚と似ていますが、裁判手続きと比べると、調停手続きの中で実施されるので申立て手続きや費用の面で、当事者に負担が少ない方法といえます。また、調停と同様審判手続きは非公開になりますので、裁判と比べて当事者のプライバシーが守られるというメリットがあります。

審判離婚は、これまで利用されることが少なかったのですが、近年徐々に利用数が増えているようです。

 

2.審判となる具体的な事例

調停の中で審判に移行するのは、具体的にはどのようなケースなのでしょうか。

端的にいうと、当事者が離婚すること自体には合意しており、調停がまとまらない理由が比較的些細な問題である場合になります。

また、当事者の一方が、理由なく調停手続きの進行を引き延ばしていたり、出頭しなくなった場合もこれ以上当事者の話し合いに委ねても進行が望めないので審判となります。

せっかくこれまで時間をかけて調停を進めてきて、もうすぐ離婚が成立しそうであることにもかかわらず些細なことで不成立になってしまい改めて訴訟とするのでは、当事者の負担も大きく、訴訟経済上も非効率です。

そのため、こうした場合は、裁判所のイニシアチブで離婚を進めるという審判が選択されます。また、審判には即時抗告という異義申立て手続きが用意されているので、裁判所の職権で決めてしまったとしても、当事者に大きな不利益があるわけではありません。

また、審判は、離婚の有無そのもの以外にも、養育費の定め、慰謝料請求、面会交流の条件の決定でも使われます。

 

3.審判離婚の流れ

上述のように、離婚調停の申し立てや調停上の話し合いが一定程度進んだあと、ほぼ離婚について合意が得られたものの、調停成立が困難になるような事情が発生した場合、調停の担当裁判官が、審判とする旨判断をします。審判が終了し、どちらの当事者も内容に異存がない場合は、申立人は裁判所から審判確定証明申請書、審判書謄本、審判確定証明の交付を受けたうえで、市町村の役場に離婚届を提出します。

なお、当事者が、はじめから審判離婚を求めることも可能ですが、審判の有無は裁判所の職権になるので、裁判所が調停から開始したほうが適当と判断した場合は、調停からスタートするということになります。

 

4.審判結果に納得がいかない場合

調停で合意ができなかったわけですから、裁判所の決定内容にどちらかの当事者が納得いかないことももちろんあるでしょう。こうした場合は、審判に対する異議申し立て手続きである「即時抗告」をすることが可能です。 

異義申立が可能な期間としては、当事者が審判書謄本を受領してからから2週間以内となりますので、注意しましょう。 

当事者のどちらかが異義申立を行った場合、審判は失効、手続きは家庭裁判所から控訴審である高等裁判所にうつります。高等裁判所では、書面審理を行い審判内容を審理しますので、異義がある当事者は、審判の内容をくつがえすための証拠等を提出して出張を行うことになります。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか。審判離婚についてご参考になれば幸いです。

再婚禁止期間について

.厚生労働省が発表している統計データによると、夫婦の一方又は両方が再婚であるカップルは全体の3割弱程度いるようです。
離婚や再婚が珍しいことではなくなってきた昨今、離婚後新しいパートナーと再婚して今度こそは幸せな家庭を築きたいと願われる方もいらっしゃるでしょう。
ところで、女性については、離婚後一定期間再婚ができない再婚禁止期間というものがあることをご存知でしょうか。この記事では、再婚禁止期間の具体的な内容や制度趣旨、例外などの詳細をご説明します。
第6回】 女性の再婚禁止期間が短縮!社会に与える影響を探る | ZUU online


1. 再婚禁止期間とは?
再婚禁止期間は、民法733条1項に定められています。女性が離婚後再婚するためには、前の結婚解消又は取消し(ほとんどの場合、離婚のことを指します。)から合計100日間は待たなければいけません。再婚禁止期間は、女性にのみ定められているので、男性は離婚後すぐにでも再婚できます。
女性の再婚禁止期間中に婚姻届を提出しても、役所では戸籍上前婚の離婚日を把握していないので、受理してもらえません。この期間は我慢して交際期間とするか、一緒に暮らし始めるとしても内縁関係ということになります。

2.再婚禁止期間の趣旨
では、なぜ女性に対してのみ、法律は再婚禁止期間を課しているのでしょうか。
端的にいうと、女性は妊娠出産する機能を備えており、男性にはこれがないからです。
そして、女性は妊娠出産により産まれた子供が自分の子であることが確認できますが、男性はそうではありません。
再婚禁止期間は、前婚と後婚の間が近すぎることにより、再婚後に生まれた子供が、前の夫の子なのか後の夫の子なのか分からなくなるという混乱を招くために設けられました。

民法では、子供の父を定めるため、、「嫡出の推定」という規定を置いています。
具体的には、結婚後200日経過後に妻が出産した子どもの父は、現在の夫であると推定されます。また、離婚後300日以内に女性が出産した子どもの父は、前の夫と推定されます。

つまり、女性に再婚禁止期間がもしなくて、離婚の直後に再婚できるとすれば、離婚後300日以内かつ再婚後200日以降である100日間ほどの重複期間に子供が誕生した場合、その子は、法律上は前の夫の子供と推定され、重ねて今の夫の子供とも推定されることになります。法律上2人の父親が推定されてしまうのは、家族関係に混乱をきたしますので、もちろん不都合ですので、こうした事態を避ける必要があります。
そのため、二重の父親の推定を避けるため、
このような事態に陥って一番困るのは、生まれてきた子どもです。推定期間が重複する期間である100日が再婚禁止期間となりました。

3.再婚禁止期間の例外
上述のように、再婚禁止期間は、子供の父親が二重に推定されることを避けるために設けられたものですので、二重の推定のリスクがないような場合は、例外的に再婚禁止期間内でも再婚することができます。

例えば、離婚した相手と再婚する場合は、前夫も後夫も同一人物であるため、二重の推定があっても特に不都合がありません。けんかなどで衝動的に離婚したものの、冷静になってもう一度やりなおすような場合については、再婚禁止期間を待たずして前夫と再婚することができます。

また、離婚時に妊娠していないことを医師の診断書とともに婚姻届を提出する場合も、再婚禁止期間を待たずして再婚できます。民法上の父親の推定はあくまで推定であり、反証ができるものですので、医学的に前夫の子ではないことが証明できれば問題ないからです、共に

非常に例外的な話ですが、前夫が失踪3年以上経過したための離婚についても、再婚禁止期間内でも再婚できます。前夫とは3年以上コミュニケーションが取れていない状態であるので、子供の父親ではありえないためです。

4.最後に
いかがでしたでしょうか。父親の二重推定を避けるために民法上定められている女性の再婚禁止期間のあらましについて、ご参考になれば幸いです。

不倫慰謝料

芸能人の不倫がニュースを騒がせたりしていますが、配偶者の不倫が発覚すると、被害者は大きな精神的痛手を負います。どのように対応するかは夫婦関係や被害者の価値観にもよりますが、浮気をした配偶者や不倫相手から、精神的損害を填補する不倫慰謝料をもらいたいと考える方も多くいらっしゃると思います。
この記事では、不倫慰謝料の概要、相場、請求方法などをご説明します。

ダブル不倫」の慰謝料とリスク 複雑になるお金の流れで、修復も困難に ...

1. 不倫慰謝料とは
結婚している男女は互いに貞操義務を負うため、他の異性と肉体関係を持つことが禁じられます。不倫はこの貞操義務に反するものですので、浮気をした配偶者は、被害者である配偶者に対し、民法上の不法行為をしたことになり、損害賠償義務を負うこととなります。
不倫相手は、もし既婚者であることを知りながら、または当然気がつくべき状況下で不倫関係にあえて陥った場合は、故意過失により不倫相手の配偶者の法律上の利益を害したことになるので、やはり損害賠償責任を負います。
不倫をしたカップルは、被害者への損害賠償債務について連帯責任を負います。
つまり、被害者としては、不倫をした自分の配偶者に対しても、不倫相手に対しても、どちらか一方に満額請求することもができ、不倫をしたカップルはそれぞれ半分ずつ請求してくれというような主張はできません。

2. 不倫慰謝料の相場
不倫慰謝料の金額は、法律上で定められたものではないので、当事者間で合意すればどのような金額でも構いません。ハリウッドスターなどで数億円単位の慰謝料の支払いなども聞いたことがありますよね。しかし、通常は支払う側はなるべく安く、もらう側はなるべく多くもらいたいものですので、相場を意識した示談交渉がなされます。
不倫慰謝料の相場、裁判で争われ決着がついた金額を元にしており、およそ50万円~300万円程度となります。
相場は、夫婦や不倫の状況により異なり、不倫により被害者に与えられたダメージが大きいほど高くなります。具体的には、不倫後夫婦関係を修復する場合であれば50万円~100万円,不倫を原因として夫婦が別居した場合は100万円~200万円,不倫により夫婦が離婚に至った場合は200万円~300万円が目安です。

3. 慰謝料の金額に影響する要素
裁判になった場合に実際に決まる慰謝料の金額を左右する要素としては、夫婦の属性や年齢差、婚姻期間、不倫前の家庭の円満度、子供の有無などの夫婦の状況があります。また、不倫関係の長さ、頻度、どちらにイニシアチブがあったのかなど、不倫をした当事者の要素も考慮されます。不倫を否認したり、一度もうしないと誓ったのにもか変わらず再発したりした場合は、加害者の責任が重く認められがちです。
4. 不倫慰謝料の請求方法
不倫相手に慰謝料請求をする場合は、まずは内容証明郵便などを送り、それから示談交渉にはいることが一般的です。加害者が素直に示談交渉に応じる場合は、公正証書などで示談書をつくり、合意した金額を支払ってもらいます。
加害者が任意に示談に応じない場合は調停や訴訟で決着をつけることになります。
いずれにしても、早い段階から、離婚問題に詳しい弁護士に間に入ってもらったほうが被害者の精神的負担も軽く、示談交渉や訴訟もスムーズに進みやすいと考えられます。

5. 注意しておきたいこと
不倫慰謝料を請求するとき、もう離婚の決意を固めている場合は、上述のように自分の配偶者にも不倫相手にも心置きなく請求をしても問題ないでしょう。一方、不倫相手からは慰謝料は貰いたいけれど、離婚する気はない場合は注意が必要です。この場合は、自分の配偶者からは慰謝料をもらう気はないことが一般的ですので、不倫相手に満額請求することになります。ところが、満額支払わされた不倫相手は、共同不法行為者である不倫相手に負担を求める求償請求が可能です。こうなると、せっかく慰謝料をもらっても家計からお金が逆戻りしてしまいますので、例えば慰謝料を減額する代わりに不倫相手に求償権を放棄してもらうなどの工夫が必要です。

6. 最後に
いかがでしたでしょうか。不倫慰謝料についてご参考になれば幸いです。

離婚と弁護士費用

離婚をする際に、全ての夫婦が当事者だけの円満な話し合いにより離婚できるわけではありません。離婚は男女間の複雑な感情に法律や財産の問題が絡むため、当事者間の話し合いが感情的になりがちなテーマであるともいえます。当事者同士の話し合いにより状況が悪化してしまいそうな場合は、第三者であり法律の専門家である弁護士に間にはいってもらって離婚協議を進めるのがスムーズな解決策です。ところで、離婚問題を弁護士に頼もうかと検討する場合に気になることが、弁護士費用ではないでしょうか。

離婚前後には引っ越し等の生活の変化などお金を使う場面が増えるので、弁護士費用がどの程度かかるのかが心配になる方もおられると思います。

弁護士監修】離婚の弁護士費用の相場|着手金や報酬金、法テラスの費用 ...

 

 

1.弁護士費用は事務所によって異なる

 弁護士に支払う金額は、弁護士事務所により異なります。従前は、日本弁護士連合会が一律の弁護士報酬の基準を定めていたのでどこの事務所に頼んでも同じ費用でしたが、弁護士費用の自由化によりこの統一基準はなくなりました。そのため、事務所ごとの方針により、パートナーといわれるシニア弁護士やアソシエイトといわれるジュニア弁護士の時間給は異なります。そのため、依頼を検討している事務所から見積もりをとり、比較検討しててみることをおすすめします。もっとも、旧日弁連の基準にしたがって報酬を設定している事務所が多いので、事務所による金額の差異はそれほど大きくないと思われます。

 

2、離婚案件でかかる弁護士費用とは?

2.1 相談料

離婚問題を相談するにあたり、まずはご自身の状況や今後希望する方向性を弁護士に相談する必要があります。この際のコンサルティング費用は、相談にかかる時間に応じて計算されることが多く、例えば1時間1万円というように設定されます。相談の結果、例えば離婚調停や裁判を委任する場合、初回相談料は無償としてくれる弁護士事務所もあります。

2.2着手金

離婚問題の解決を正式に委任すると、弁護士が事件に着手するにあたっての着手金を払う必要があります。

 2.3 成功報酬

離婚問題が無事解決した時点で弁護士に支払う報酬です。成功報酬は依頼者が弁護士への依頼により得られた経済的利益の数パーセントとなります。例えば、不倫による離婚の場合は、得られた慰謝料や財産分与の額の数パーセントを弁護士に支払う必要があります。依頼者としては、成功報酬は実際にもらえる金額の一部を弁護士に支払えばよいので、資金繰りに不安がある場合は、着手金の割合を減らして成功報酬の割合を増やすことができないか弁護士に相談してみることがおすすめです。

2.4 日当・実費

弁護士に出張などをお願いする場合別途日当が発生したり、依頼内容によっては費用実費が別途必要になることもあります。

 

3.離婚の弁護士費用の相場

離婚は調停前置主義といって、裁判の前にまず調停をおこす必要があります。調停の代理人を弁護士に依頼した場合の相場は30万円から70万円程度、調停が成立せずそのまま訴訟に進んだ場合は合計で70万円から110万円程度が相場となります。なお、離婚の是非のみならず、養育費や財産分与が争点となっている場合は、より弁護士費用が上がる可能性はあります。

 

4.弁護士費用の支払いが難しい場合

弁護士事務所の無料法律相談や法テラスなどで法律相談を受けることができます。また、弁護士事務所によっては弁護士費用の分割払いに応じてくれるところもあります。

離婚慰謝料や財産分与をある程度受け取れる見込みがあるときは、なるべく着手金ではなく成功報酬の割合をあげてもらうという方法もあります。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか。離婚問題を弁護士に委任する場合の費用の目安についてご参考になれば幸いです。

離婚と子供の相続

日本では夫婦が離婚すると、どちらか片方の親が親権者となり子供と一緒に暮らし、親権者とならなかったほうの親は子供とは離れて暮らすことになります。非監護親が子供とどの程度面会交流の機会をもつかはそれぞれの家庭によって異なり、親子の親密度愛もそれによって異なるでしょう。悲しいことですが、離婚によって非監護親が子供と疎遠となってしまうケースも少なくありません。こうした場合、非監護親が亡くなった場合の子供の相続権はどうなるのでしょうか?

 

離婚した後の配偶者・子供の相続権 | 相続弁護士相談Cafe

 

1.離婚によっても子供の相続権は消滅しない

民法によって、配偶者と子供は、被相続人の第一義的な相続人として定められており、それぞれ1/2ずつの相続権を有しています。夫婦が離婚すると配偶者は被相続人と法律上赤の他人になりますので、相続権はなくなります。しかしながら、夫婦が離婚しても、夫婦の間に生まれた子供と両親との間の親子の関係は変化しません。したがって、子供は離婚後も両親に対して、1/2の相続権を有したままとなります。このことは、非監護親として別居して暮らしたとしても変わりません。そのため、離婚の有無にかかわらず、子供は親に対する民法上の相続権を有することになります。

 

2. 離婚した配偶者との子供に財産を渡したくない場合

上述のように、基本的には、子供は離婚した両親に対して、離婚していない場合と同様それぞれ法定相続権を持ちます。しかし、非監護親の立場からすると、いかに実の子とはいえ、離婚から年月がたち、ほぼ面会もせずに疎遠のまま子供が成長した場合、財産を相続させたくないという気持ちになることもあるでしょう。特に非監護親が再婚してより親密な関係の新しい配偶者や新しい配偶者との間の子供を持った場合に、そうした気持ちになってしまうこともあるでしょう。

こうした場合、非監護親がとりうる手段としては、遺書を遺しておき、相続財産をすべて再婚の配偶者やその間の子供に遺すという意思表示をすることができます。ただし、注意しておくべき事項として、民法上の相続権者は遺留分減殺請求権を有しています。遺留分減殺請求とは民法上定められた法定相続分を侵すような遺言がなされた場合であっても、法定相続分の一定割合まではその遺言を無効として自分に引き渡すように請求できる権利です。そのため、養育していない離婚した配偶者との間との子供に一切財産を渡さないということは、その子供から請求があれば不可能ということになります。遺留分減殺請求を主張できる期間は法律により定められていますので、相続を希望する子供側としては、非監護親が亡くなった後遅滞なく請求していくことが必要です。

 

3.監護親が再婚した場合

親権を持っている親が子供を連れて再婚した場合、子供の相続権はどうなるのでしょうか。再婚により子供が親の再婚相手と同居して、実の親子のように暮らしたとしても、それだけでは再婚相手と子供との間では相続権は発生しません。再婚相手と子供が養子縁組を行った場合に、2人の間に法律上の親子関係が発生するので、相続権が発生するのです。養子縁組には子供が幼い場合に、実の親との親子関係を消滅させたうえで、新たな養親との間の親子関係を成立させる特別養子縁組と、実の親との親子関係は存続させたうえで、養親との間の親子関係も成立させる一般養子縁組があります。特別養子縁組の場合は実の親との相続関係はなくなりますが、一般養子縁組の場合、子供は実の親からも相続でき、養親からも相続することができます。

 

4.最後に

いかがでしたでしょうか。離婚によっても、非監護親と子供との間の相続権は消滅しません。離婚後夫婦それぞれが再婚したり、新たに再婚相手との間に子供を授かったりした場合、相続関係は複雑になりがちです。離婚と子供の相続に迷いがある場合は、弁護士等の専門家に相談しましょう。

よくあるご相談 親権を獲得するために

離婚の際に大きな揉め事のなる事項のひとつに、お子様の親権の帰属があります。夫婦は離婚してしまえば他人ですが、血を分けた我が子となるとそう簡単には割り切れないことが多いでしょう。夫婦の合意でどちらが親権者になるかすんなり決まればよいのですが、父母ともに親権を主張して決着がつかないこともあります。そのような場合、ご自身が確実に親権を取得するためには、どのような対策をすればよいでしょうか。

 

親権について(主に乳幼児期の子ども) | 船橋周辺の夫婦間トラブル ...

 

1.親権とは?

親権とは、未成年の子供が自立する成人するまで、養育し教育を施すという親の権利義務をいいます。親権には、未成年の子に代わってその財産を管理する財産管理権と、寝食を共にして世話をする監護権の2つがあります。

2つの権利は、同じ親が合わせて持つこともでき、1つずつ切り離して持つこともできます。

婚姻中は父母が共同して親権を持ちますが、日本の民法では、離婚をすると共同親権は認められずどちらか一方が親権を持つことになります。離婚届けを提出する際にどちらか一方を親権者に定める必要があるので、離婚までにはどちらが親権を持つかを必ず決めておく必要があります。

 

2.親権が決まる基本的な考え方

両親が子供の親権について合意できない場合最終的には家庭裁判所での司法判断となります。裁判官は親権の帰属を決定する際、子供の福祉のために、父と母どちらが親権を持ったほうがよいのかを様々な要素を考慮して結論を出します。

そのため、親権を求めて訴える側としては、自分が親権を持ったほうが子供を幸せにできるということを、様々な角度からアピールし、認めてもらう必要があります。決め方

 

3.親権の決め方

第一義的には、夫婦が協議して決めることになります。協議でも決まらない場合は、夫婦関係調整調停を家庭裁判所に申し立て、調停員の仲介のもと、協議をすすめることになります。調停員のアドバイスには法的な拘束力はないので、調停でもまとまらない場合は訴訟により解決をはかることとなります。

 

4. 親権決定の際に判断される要素

調停での調停員、裁判での裁判官の親権についての判断は、様々な要素に基づいて行われます。まず、特に子供が幼い場合は、一般的には母親の方が父親よりも、優先されます。母のほうが日常生活において細やかに子供の面倒を見る傾向があり、幼児期において母親と子供の関係性はその子の発育に大きな影響を与えると考えられているためです。

また、離婚後にどちらの親のほうが子の養育に時間や手間を割ける環境にあるかということも大きな判断材料です。例えば仕事が繁忙でなかなか育児に時間がとれない親よりは、実家の援助などがあり時間に融通がきく親のほうが、子供の養育に適していると判断される可能性が高いです。離婚前に実際に育児にかかわっていた態度や時間なども、離婚後の子供の養育態度の参考として加味されます。

 

子供がどちらの親と住みたいかという意見も考慮されます。もっとも子供が未就学児であるなど幼い時期はまだ自分の意見を形成することは難しいのであくまで参考程度にとどめられます。一方、子供が小学校高学年、中学生などになっている場合は、ある程度自ら判断ができるので、子供の意見の考慮の比重も高くなっていきます。

 

一方、夫婦の離婚原因やどちらに非があったかということは、基本的には親権の判断にあたって考慮されません。例えば、不倫による離婚の場合、夫婦間では不法行為にあたるので法定離婚原因にあたり慰謝料請求原因になりますが、そのことと子供の福祉とは関係がないので、親権判断にあたっての考慮要素とはならないのです。

 

5.最後に

いかがでしたでしょうか。親権を決める際に、夫婦間で合意ができない場合は、調停や裁判の場で判断されることになります。親権決定は様々な要素を考慮されたうえでなされますが、基本的には母親が優先されることが多く、離婚後子供を養育できる環境や子供の意見アドを加味されて検討されます。

 

よくあるご相談 面会交流

1.面会交流権とは

離婚により夫婦は他人になりますが、それによりそれぞれの親と子どもとの間の親子関係が切れるわけではありません。離れて暮らす親は、子供に対する扶養義務を負い、また定期的に直接会ったり、手紙や電話等の手段でコミュニケーションをとったりする面間交流権を持ちます。

 

2.面会交流の決め方

面会交流を決める際には、頻度、場所、第三者がたちあうか、プレゼントや宿泊の有無などの条件を取り決めておく必要があります。この条件は、第一義的には子供の両親である父母が話し合って決めることになります。夫婦の話し合いがまとまらない場合、非監護親側が監護親の住所地の管轄の家庭裁判所に対して面会交流調停を申し立てます。調停は当事者同士の話し合いの延長ですので、調停員が面会交流条件を当事者に強制することができません。調停が不成立の場合は審判、裁判所での裁判というように進行していくことになります。

 

3. 調停の進行

面会交流を含め離婚関連の事件は、調停前置主義といって、いきなり訴訟を提起することはできず、まず調停での解決を図る必要があります。家庭内での事件ということもあり、まずは当事者の話し合いの延長である調停に委ねたほうが効率的という理由があります。

調停では、まず調停員を交えて当事者画面間交流の条件を話し合うことになりますが、まとまらない場合は、裁判官による審判に移行します。審判の結果に不服の場合は訴訟を申し立てることができますが、不服申し立てをしない場合、審判の結果が法的拘束力を持ちます。

裁判所は審判を出すにあたって、なるべく公平な結論を出すように、事前に家庭裁判所の調査官による調査を行うことがあります。具体的には、子供の保育園や学校の教職員に子供の生活状況について聞き取りを行ったり、両親からの意見聴取、子供自身の意見をヒアリングしたりします。調査官は児童心理などにも習熟しており、総合的な調査の結果、どうすることが子供の福祉にとって一番よいかを検討したうえで、裁判官の検討要素とするために報告を行います。

 

また、実際に面会交流を行った際に、非監護親と子供がどのように交流するかを見て判断するために試行的面会交流が行われることもあります。試行的面会交流の際には、家庭裁判所の玩具等がおいていある一室で、家庭裁判所の調査官が立ち会いのもと、面会が行われます。試行的面会交流の歳の非監護親と子供の反応をみて、家庭裁判所や監護親はその後の面会交流条件について検討することができます。

 

4.面会交流の条件について

面会交流の条件は家庭によって様々ですが、アンケートの結果最も多いのが、月1回、2~3時間程度のことが多いようです。子供の引き渡しは、非監護親と監護親の関係がそれほど悪くない場合には直接行われますが、第三者に委託して行われることもあります。

 

5.面会交流の決定時期

離婚時には必ずどちらが親権者になるかを指定している必要があります。ところが、面会交流条件については、離婚時に必ず定めておく必要はないため、離婚後に協議されることも多いようです。離婚後夫婦間のコミュニケーションがとりづらいことも多いですので、非監護親の立場としては、離婚前になるべく具体的な面会交流条件をとりきめときたいところです。

 

6.最後に

いかがでしたでしょうか。離婚後、子供と離れて暮らす非監護親には面会交流権があります。面会交流に際しては、日時、場所、頻度その他諸条件を決める必要があります。これらの条件はまずは夫婦の話し合いにより決められ、合意できない場合は、調停、審判、訴訟により決められることとなります。